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アッシュ ラリッサ
アッシュ ラリッサ
novelistID. 46007
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流れ星のタンゴ《Part.1》

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A fragile little hope
Is rising in my heart

I dare not tell you You are dear to me
Your gentle gaze will never lie
No more will I be so lonely
Your eyes keep saying you are mine

フランソワーズ   (鞄の紐をかけなおす)私もう行かなきゃ。

藤原        待って、つまり…僕が思うのは…僕も、ほかの
          まともな日本の男たちが、女の人に酒の助けなしでは決して
          言わないことを言うよ、今お酒飲んでないけど、思い切って
          言う、つまりその…You are beautiful!
          【君は美しい!】 ふぅぅ…

フランソワーズ  (肩から鞄をはずす)ほんとに?私は... Etonnée !
          E-ton-née ! ( エトネ ) 《びっくりした!驚いたわ!》

藤原        (ほっとして)「えっとね」って言ったの?じゃ、今僕が
          言ったこと怒ってないんだね?日本語では、
          「えっとね」って当惑したと時とか躊躇したときに言うけど
          怒った時には言わないから。

フランソワーズ   フランス語の “Etonnée”は、I am surprised.【おどろいた】
          という意味なの。あなたが私のこと
          きれいと思ってくれるなんてびっくりしたわ!
          あなたみたいな洗練された方にそんな風に思って
          もらえるなんて・・・あなたすごくモテるでしょ。本当に
          私のこときれいだと思う?

藤原         I always tell the truth.
          【僕はいつも本当の事しか言わないよ】

  ”I dare not tell you You are beautiful”のメロディーが聞こえてくる。

『第四場』

 隅田川の岸辺。空には星が瞬く。ひかりと藤原は夜の散歩をしている。
 フラメンコのリズムが聞こえる。

ひかり      藤原さん、見て!星が踊ってるわよ!

藤原       まさか!何の踊り?盆踊り?

ひかり      ブッブー!フラメンコに決まってるじゃない。星たちは宇宙の
         寒さに反抗してあんなにきらめいて熱のこもった光を発して
         いるのよ。ちょうど、フラメンコのダンサーみたいに。
         フラメンコのダンサーはギタリストの冷めた情熱に怒り狂った
         体で反抗するのよ。

藤原       ひかりさんは至る所にフラメンコを見つけるなぁ。
         雨のしずくが踊っているとか、洗濯機が踊ってるとか、
         で、今晩は星のフラメンコなわけ?

ひかり      (おずおずと)えぇ、そうね。わるい?昨日は風が強かった
         でしょ?風が落ち葉を巻き上げて、昨日はそれがフラメンコに
         見えたわ。

藤原       (ちょっと不機嫌に)で、一昨日は君の車が急にフラメンコの
         リズムで走り出したっけ。

ひかり      ごめんなさい、私って変だと思う?

藤原       (イライラして)僕はまた君にニューヨークのフラメンコ・
         フェスティバルに行ってほしくないんだ。もう三回も
         行っただろ?

ひかり      そんな、心配しないで!いつもヒラリーと一緒なのよ。
         彼女ニューヨークではすごく私の面倒をみてくれるの。

藤原       君がフェスティバルに行っちゃうと、いつも眠れなく
         なるんだ。夜、君がどんなふうに踊るか想像してさ。
         わかる?君がフラメンコを踊ってるときは、いつもの
         君じゃないんだ。ほら、今は君、柔らかい唇をしていて、
         子供みたいなおかっぱ頭で、やさしい信用しやすい目を
         している。大人の女性というより少女みたいだ。
         でも踊ると君はすっかり変るんだ。

ひかり      だって、コンチータ先生が言うには…

藤原       (怒って)コンチータ先生がなんだよ。僕は君がスタジオで
         踊っているのを見たよ。君の柔らかい唇は、みだらにゆがん
         で、君の目線と来たら!自分でもわかってないだろう!
         君の優しい目が獲物を殺戮するのを楽しむ野獣の目に
         変わってしまうんだ。

ひかり      (溜息をついて)ごめんなさいね、でもコンチータ先生が…

藤原       コンチータ先生はスペインの人でしょ?忘れるなよ!彼女の
         しぐさは日本女性のとは違うんだよ。

ひかり      怒らないでよ…。そんなにニューヨークへ行くのが
         心配なら、もう行かない。ヒラリーには・・・

藤原       はいはい、わかった。あのね、君がいない夜僕は、
         君がアメリカ人たちの前で真紅のスカートのフリルを
         たくし上げながら踊っているのを想像してしまうんだ。
         君の脚はますます気をそそる動きをしてさ。君の踊りを
         見ている男どもは君の引き締まった太ももを
         撫でまわしたくなるだろうよ。

ひかり      やめてよ!お願い、いい加減にして!

 ひかりは怒り狂って踊り始める。藤原は邪魔しようとする。


『第五場』

 公園、背景に東京タワー。ベンチには、ちらほらと人が座っている。

フランソワーズ  私ってなんてぼんやりしていてそそっかしいのかしら。
         私の手、麻痺したみたいに言うこと聞かないの。
         何でも落としちゃうし、壊しちゃう。さっきもどこかに
         傘を忘れてきちゃった。

 フランソワーズは、そそっかしいのは左手のせいと言わんばかりに、
 右手で左手を叩く。

フランソワーズ  さっきお会いした時も、よく知っている場所なのに迷子に
         なってたんです! 自分の泊まっている建物を見つけられ
         なかったの! 欅の木にぶつかってリンゴを落としちゃって
         あなたをびっくりさせたわね?

藤原       そうか、公園で説明された時は、何を言ってるのかさっぱり
         わからなかった。だって英語と日本語とフランス語が
         めちゃくちゃにまざっていたんだもの。

フランソワーズ  えぇ、ごめんなさいね、こういう状態の時って、英語も日本語