小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ジャッカル21

INDEX|62ページ/141ページ|

次のページ前のページ
 

ジャッカルは満足して立ち上がった。乳牛が尻を向けてきた。周りの牛たちは低く唸っている。異様な雰囲気になってきた。犬ほどではないが、尾が水平近くまで上がっていた。それは半ばから垂れさがり、先っぽは、柳のように揺れていた。付け根の下の外生殖器が油をまぶしたように濡れていた。牝牛はジャッカルを壁際へと追い詰めた。ジャッカルは、突き当たりの壁に立てかけてあった折りたたみ式の三脚を持ってきた。その動作の間、牝牛は、相手に逃げられるのではないかと思ったか、泣いているかのような呻き声をあげ続けた。三脚を壁際に立てると、下から二段目に立って、ズボンを下ろした。牝牛が体重をかけてきた。ジャッカルはたてつづけに二回射精した。二回目の射精直後、牝牛は頭を振ってうめき声を上げながら、ジャッカルを跳ね飛ばすような勢いで、激しく大量に放尿した。

マエリア・ルカーサは、二十五歳。元気いっぱいのフィリピン女だ。日本に来て六ヵ月になる。しかし、今回で三回目だ。二年前にはじめて来た時は、熊本市に行かされた。二回目は、八丈島に行かされた。今回は大阪の梅田だった。来るたびにパスポートが異なっていた。梅田のクラブ、ナニワヴィダロカを無断で辞めたのが二ヵ月前だった。いくら働いても儲からないのはおかしいと思ったからだ。今は、「体を使った」ぶんだけのお金が入るので、毎日感動しながら働いていた。ピンはねする奴がいるのといないのとではこんなに違うのか、と驚く。
朝十時から富山の市内で掃除婦として働いている。掃除するところはバーや居酒屋だった。腐ったビールの臭いにむせながら店内清掃をする。別に苦痛とは思わない。マニラでの暮らしに比べれば天国だった。昼までに契約の店の掃除が終わると、自分が勤めているピンクキャバレーの掃除に行く。酔っ払った前日の自分の幽霊がそこいらを歩いているようで、何軒も機械的に掃除をしてきたものの、ここの掃除だけはちょいとつらい。
昼食を一膳メシ屋でむさくるしい男どもに混じってとると、喫茶店ポポで夕方まで働く。時給は八百五十円だ。急いでアパートに戻ってシャワーを浴び、化粧をして、キャバレーバリハイに出勤する。十一時まででいいといわれているが、十一時に帰れたことは一度もない。時給は千四百円だ。
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦