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ジャッカル21

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画面には、金髪の大男が映し出された。ジャッカルに間違いない。見たぞ、ジャッカル。袋田は興奮する。どなりながら何度も停止させ、拡大させた。いらいらしてきたので自分の席にもどり、同じ画面を出してトリミングをした。できた静止画像をパトカーのモニターと警官ひとりずつの携帯に送らせた。携帯の費用は、全員には出ていないとは、総監から聞いている。ここはどうなっているのか。割合はどの程度か……。ぼけぼけとこんなことに思いをはせているのは、精神の緊張しすぎた結果、狼狽しているからだった。気を取り直して、モニターとマウスに集中する。結局十枚ほどの自作画像を作って送った。
引き出しがおこなわれてすでに四十分以上経っていた。場所は、三井住友銀行万代町支店。袋田の指令を待つまでもなく、周辺での職務質問と聞き込みはすでに始まっていた。
皆が、繰り返される画面に飽きて、自分の席に戻ったとき、警電が鳴り響き、怒鳴り声が室内を圧した。
「信濃川左岸の河川敷で三人の男の死体を発見。発見者は釣りに来ていた付近に住む高校教師です。いずれもホームレス風の男たちで、殴打されて死んでいました。顔面にこぶし大の陥没があります。第一会議室、現場をスクリーンに出しますか?」
袋田は、急いで出してくれ、周辺非常警戒、とどなった。今はたとえコソ泥事件でさえも無視してはならなかった。署長があわてて部屋に走りこんできた。愚かにも下唇に飯粒をつけていた。
スクリーンに、海風で揺らめく河川敷の草原が浮かび出た。画面中央に焚き火の跡が写った。それを円の中心にし、三人の男が円周をなして倒れていた。そのうち二人は武器を持っている。
最前列に坐っている刑事部の刑事が、誰を相手とも決めずに間延びした調子で口を開いた。いかにもたたき上げといった感じの定年直前の男だった。
「少年たちのホームレス襲撃ではないでしょう。ガキどもはホームレスが夜寝ているところを武器を使って襲います。いくら相手が不健康なホームレスでも、ガキには素手で殺すだけの力はないんですよ。仲間喧嘩もまず考えられません。第一、ホームレスたちは大変に仲がいいんです。気にくわないことがあったら、黙って別の土地に移動するだけですよ。
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦