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ジャッカル21

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新潟県警ビル二階の大会議室は、依然として騒がしかった。関連各課の課長クラスがそれぞれあちこちに陣取って、出張所の連合体のようになっていた。天木署長の席は空だ。その隣に袋田が坐って、いわば所長代行の役割を果たしている。そのとなりに、新たに長机がつなげられて、江刺巡査部長が控えている。巡査部長如きが、白板を背にして坐るのは尋常ではない。長いすに坐って正面をちらちら見ながら男たちは不服そうに時々ため息をついた。江刺は、男たちの窺うような目を避けるように、しょっちゅう振り返っては、白板右上に設置された大型スクリーンを眺めた。1・2メートル×1・8メートルの大画面は、現在十六分割されて、市内各所の監視カメラが捕らえた映像を流していた。
江刺は、ひっきりなしに袋田に声をかけてくる。落ち着きのない女だと袋田は思った。
「袋田さん、ジャッカルって、どういう意味? まさか本名じゃないわよね」
袋田は、机上のモニターを見ながら、ヘッドフォーンを片耳だけで聞いていた。交通部と公安部から連絡が入るたびに画面を切り替える。少しでも時間が空くと刑事課にこちらから連絡して、事件発生の有無、あればその被害状況等を報告させる。引ったくり、火事、交通事故……。週末ドライバーが起こす事故が多い。
「ねえったら、袋田さん、聞いてんの?」
おかめヅラが近づいてきた。じっと見つめていると吹き出しそうなので眼をそむけた。
「うるせえなあ。ジャッカルってのは、狼と狐のあいの子みたいな動物なの。腐肉を喰らうんでね。ハイエナと思ってればいい。犬の祖先が狼なのかジャッカルなのか、いまだによく分かってないそうだ」
「ふーん、物知りね」
「東京を出てくるときに調べた」
「ハイエナみたいなやつだからジャッカルってつけられたのかしら」
「知らん。最初からジャッカルだった。昔の小説か映画から採った名前らしいが、ふざけた名前をつけたもんだな。我々のやってることにリアリティがなくなっちまう」
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦