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ジャッカル21

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「出来る。やってみるんだ。ほら、どうするんだっけ? ライフルを抜いて、まず前回し、次に後ろ回し」
そう言って袋田が、ゴルフバッグを開けようとすると「さわんないで! 自分でやるから!」と江刺が叫んだ。
江刺は銀のライフルを抜き取った。後部座席に中腰になった。前にライフルを回そうにも、座席の背もたれに突っかかってしまう。左右の前部座席のあいだの隙間に銃身を通した。肩先に銃身が伸びてきたので、操縦士は悲鳴を上げた。ヘリが大きく揺らぐ。
左のドアをあけた。江刺が構えた。ヘリコプターは旋回しながら左にかしいだ。江刺は床を滑ってドアの外に飛び出しそうになった。江刺は悲鳴を上げてドアの枠に両手でしがみついた。ライフルが宙に舞って海に落ちようとした。袋田はとっさに上半身を伸ばし、危うく右手でライフルをつかんだ。腕に激痛が走った。折れたかと思った。ぶら下がっている江刺のわき腹に袋田の左頬がぶつかった。袋田はそのわき腹を左腕で支えて、後ろに倒れこんだ。懸垂をしている江刺と引っ張り合いになった。
「手を離せ。こっちに倒れてこい」
そうはいかなかった。袋田は怒鳴りながら歌う。
「むーすーんで、ひーらーいーて。練習中にしょっちゅうやってることじゃないか。ほら、むーすーんで」
江刺は、後ろ向きに袋田をあびせ倒した。なんと重い女だろう。
袋田は江刺の下から這い上がると、その体を引っ張り上げた。江刺の顔面は蒼白。涙でびしょぬれである。眼はうつろだ。ブラウスのボタンが上から二個取れていた。ヒールが片方ない。
袋田はあらためてライフルを江刺に持たせると、その左の頬をひっぱたいた。それからドアに向かって立たせた。黙って胴体を後ろから抱え込み、左足を上げて壁に突っ張った。
「残ったヒールを蹴って脱げ。支えといてやる。もう一度やるんだ。本番だ。気持ちを切り替えろ」
江刺は、二度三度と深呼吸をした。その素直さは感動的だった。ところが、なんたることか、しゃっくりが、腕に伝わってきた。袋田は自分にもしゃっくりがうつりそうな感じがした。
「やっぱ、だめ。しゃっくりが、止まんない」
「ここは国内だぞ」
しゃっくりは止まらない。
「私、今わかった。外国だからシャックリが出てたんじゃなくて、いざというときに、外人が近くにいると、しゃっくりが出てたのよ」
「ジャッカルは外人じゃない。日本人だ!」
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦