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ジャッカル21

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「信用のおける人物かね?」
「新宿の外人バーの……」
「バーの女におちょくられたって?」
「そんなこと言ってないでしょう。ただ、ありゃ、どこの馬の骨が訳したんですか? キャバレーの姉ちゃんにも教養を疑われますよ」
「最高学府出の秀才にけちをつけるな」
「つけますよ。その訳し間違えを、偶然外人おミズに教えてもらえなかったら、と思って、ぞっとしてるんですよ。早く対応しなきゃまずい。裏をとるなら早くとって下さい。出稼ぎロシア人じゃなくてもいいですぜ。生のロシア語を知っている人間に当たってみてください。翻訳家や学者やらに訊いたら間違えると思います。とにかく、この事態に対する対応を急ぐ必要があります。その姉ちゃんの間違いだったってかまわんでしょうが。対策をとらなきゃたいへんなことになりますよ」
似た様な言いあいを繰り返しながら、タクシーの中であちこちの部署と電話連絡を続けた。そのとき腰の警電が鳴った。
「目黒区大岡山の東京工業大学構内で、殺人事件と盗難事件が発生。付近のパトカーは急行願います……」
さらに携帯が鳴った。左右に電話機をひとつずつ持って、両方同時に聞く。警電は、助手と院生が頚骨を折られて死亡したことと盗まれた自動車の想像を絶する仕様を伝えて切れた。携帯は昔からの知り合いである機動隊の中隊長からのものだった。
「……と言うわけで、袋田さんのことですから、なにか確実な根拠があってのことだと思いますので、総監命令はまだ出ていませんが、百名ほどなんとか理由をつけて神奈川県内に移動させました。東名と第三京浜の検問に参加させています。私も引率でここまで来まして、あと一時間ほどしたら都心に戻る予定です。袋田さん、ここんとこの騒ぎは、いったいなにごとなんですか。いろいろと噂は聞いてますけどね。知らされないままでも、ずっと仕事はしてきてますよ。うちらは偉くないですからね。だっけど、今回は大きなことなんでしょ? ちょっとぐらい聞かせてよ、袋田さん」
袋田は困ってしまう。ごまかし話を考える心の余裕がなかった。そのときにまた警電がなった。
「環八から第三京浜に入る入り口の検問を突破した車があります。ナンバープレートなし。形態異様。改造車と思われます……」
「あんた、いまの警電聞いたか? いまどこにいる?」
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦