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ジャッカル21

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長柄は座高が高くでっぷりと太っており、威圧感に溢れ、睥睨するように左右に目を動かして止まない。多くの者の前で檄を飛ばすのに慣れている。小柄な古賀は、長柄の縮小コピーのように、体も坐りかたも目の動きも長柄に似てしまっていた。重光は眉も髯の剃り跡も濃い、意志の強そうな、闘士型の男だ。もと柔道の国体選手で、下手をするとオリンピックに出ていたかもしれないという噂の持ち主だ。明石は、ひょろりとした神経質そうな二枚目である。いずれも五十歳を超えているが、タフで自己主張が強くプライドが高い。重光と明石は寝入りばなをたたき起こされて今着いたばかりだった。明石が最後に着席した。
各人の前には、翻訳を終えた送信文書が原文を添えておいてある。それ以外に、今回の文書と署名が同じ過去の文書の翻訳が十部ほど積んであった。今回の送信文が一番長い。
明石は、寝癖の直らない灰色の頭髪を押さえながら口を開いた。
「車の中で通読した限りでのことを申し上げます。その前に、これがいたずらに過ぎないとは思わないでいただきたい。過去の通信文は、ああ、お読みにならんでもいいです、内容瑣末なものがほとんどでしたが、誤報や、ましてやいたずら、冗談のたぐいは、一切ありませんでした。通信者は真剣です。したがって、今回の内容がいかにばかげたものであろうと、履歴をかんがみて、慎重に検討すべきだと思われます」
明石は心配そうに三人の顔色をうかがった。
「その内容のことですがね」
長柄がいらいらした口調で言った。五分待たされただけだったが、とても機嫌が悪い。
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦