小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ジャッカル21

INDEX|106ページ/141ページ|

次のページ前のページ
 

アレギーノフという名前がわかった段階で、情報官室二課と欧州局ロシア課と警察庁の国際捜査管理官室の三部門が、合同オペレ―ションに取り組んでいた。警察庁の公安や外事の連中はお手並み拝見とばかりにニヤつきながら見物していた。合同オペの内容は、二人のアレギーノフの生育環境、行動履歴、特に出入国履歴を把握することと、1965年以降現在までにウクライナのイヤルートナ郡を訪れた日本人のリストアップだった。入出国日時、渡航目的、滞在日数、行動ルート、等々残っている限りの記録を収集分類することだった。電子データ化されている記録からまず手をつけ、遡行的に作業は進められた。職員の三分の一が三交代体制でこの作業に関わった。開始してから五十三時間経った。日常業務に支障が出はじめていた。
「やつの出入国記録は全部見たか?」と重光。
「日本には二人とも来たことはない」と明石。
「それは今さっき知った」
「ヤコブはアメリカに一度行っただけだ。92年以降、ヤコブと称する男が、数回、ロシアから出国している。イスラム穏健派の指導者暗殺事件の前にインド、パキスタン経由で二度アフガニスタンに入っている。報道記者の肩書きだった。イスラエル、南アフリカ、アルゼンチン、チリ、ニカラグア、いずれも報道記者として入っている。船による入国例が目立つ」
「空港にくらべると港湾でのチェックは比較的楽だということもあるかも知れんけど、今言ったいわば正式の入国以外に、岸近くで飛び込んで泳いで入国したほうが、実は多かったんじゃないか? 新潟でのやり方をずっと続けてきてたんだ。もしかして高所恐怖症で飛行機が苦手なのかもな。南アメリカに潜入したときも、氷結したベーリング海を橇で渡って、ロッキーを縦走したとか?」
「とにかく、いまあげた国で、暗殺事件が例外なく起きている。ジャッカルが犯人である証拠はまったくないが、この高い相関度は見逃せない。
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦