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ジャッカル21

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「出たな、重商主義。帝国主義はもう古いんだな!  古く辿るほど新しい! ただし、自由の国の元祖アメリカとしては、想像を絶するがね」
この単純で眉唾なブレアの発言も、支配のためにはけっこう有効じゃないかと、結局三者の意見が一致した。実のところやっとプーチンは譲歩した。ネオコンどころではない、みもふたもない保守主義と復古主義の開陳だった。社会主義教育を少年時代に叩き込まれたプーチンにとっては,あきれた物言いだったが,プーチン自身も理念から脱出した人間であるから、この,ブレアという労働者上がりの転向者の自己侮べつ振りは意外ではなかった。しかし、行き過ぎだ。ブレアは、上昇志向の果ての王朝礼賛に酔っているようで、マゾヒスチィックで無残で奇怪だった。
メモなしでしゃべるブッシュは、アンちゃんみたいだった。低能で単純で欲の深い保守主義者であることがよく分かる。その単純素朴さを披瀝することで人気を集めてきたのだ。それ以外のやり方では威張れないだろう。選挙にも勝てなかったろう。戦争で命脈を保っている指導者だ。
プーチンは二人を観察しながら、自分が一番頭がいいとうぬぼれた。
権力についての話し合いは、すぐさま軍事力の問題に限定された。三者ともアメリカに軍事力をさらに集中するべきだ、という点で同意した。調子に乗ったブッシュは放言した。
「わが国以外のすべての国の武装解除を望む。それは、英露も例外ではない」
英首相は苦り切った顔をした。ブッシュは更にぶちまくった。
「そうしたらどんなにいいか。日本を見ろ。武装解除を自分から求め、見返りに世界史上まれな経済発展を勝ち取った。すばらしきかな、武装解除。どの国にもおすすめするね」 
プーチンは不平を言った。
「おまわりさんに我々が払う礼金が高すぎやしないか?」
ブッシュが言い返した
「適切だ!」
作品名:ジャッカル21 作家名:安西光彦