恋の結末
――数年前
「結構深い所まで来たな」
今、僕は森の中にいる。
なぜ? と聞かれてもそうとしか答えられない。
何を思ったか僕は折角の休日なのに森に踏み入ってみた。
空気がきれいだ。
たまにはこういう日があってもいい。
僕の住む町は小さいのでこういった自然がまだまだ残っている。
我ながらなぜ森に入ろうと思ったのだろうか?
自然を満喫しようと思った?
何かのアニメに影響された?
いや、そんな理由ではない。
なんとも形容しがたいが、森へ行こうと思ったのだ。
「おや?」
ふと僕は歩みを止めた。
何か違和感を感じた。
僕は、違和感の正体を確かめようとその方へ歩いた。
まもなく違和感の正体が分かった。
一匹のキツネがロープに絡まって木にぶら下がっていた。
死んでいた。
地元の猟師の仕掛けた罠に掛かったのだろうか?
かわいそうに……。
僕は立ち去ろうとした。
かわいそうにとはまた自分勝手なことを思ったものだ。
コン
!?
背の高い草に隠れていて気づかなかったが、下にキツネがいた。
明らかに子ギツネだった。
親子だったのだろうか?
僕はこの子ギツネを連れて帰った。