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恋の結末

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 放課後
 掃除当番に当たった僕は伊吹と掃除をしていた。
 小鳩さんも掃除当番だったはずなんだが、早々に帰ってしまった。
 それも黒ずくめのボディガードに両サイドを固められて。
 ペコペコと頭を下げ、手伝えないことを謝られた。
 本当に別次元の存在だ。
 小鳩さんと結ばれるには兄を殺したぐらいでは足りなさそうだな。
「ちゃんと掃除しろ」
「え? ああ、ごめん」
 つっけんどんな声に目の前の仕事に引き戻される僕。
 そんな僕にグッと突き出される塵取り。
「しっかりしろ、変人」
「はいはい」
 夕日の差し込む放課後は何だかノスタルジックな気分にさせてくれる。
 窓から光を追って顔を動かすと伊吹と目があった。
「な、何だ?」
 夕日を伊吹の柔らかい茶髪が受け止めている。
「綺麗だ」
「ふぇ? え、あ、うん」
 顔を真っ赤にして「そ、そうかなあ」とかぼそぼそとつぶやき始めた。
「で……ど、何処が……?」
「え?」
「だ、だから、綺麗って何処がって聞いるんだっ」
「髪が綺麗だなあって」
「そっかあ。髪か……」
 そう言いつつ指先で髪をクルクルしだした。
 まあ、なんだ。髪を触るその姿は何だか絵にはなっていた。
 結局、その日の掃除は一人でやることになった。
 なぜかって? 伊吹があのまま固まって動かなくなったからさ。
 ようやく掃除も終わるといったころになって伊吹はボンと頭から煙をだして飛び去って行った。
 教室には僕一人になった。いや、ほかにもあるな。まだまだ埃の溜まった教室と床に転がった箒が一つにため息が一つ。
作品名:恋の結末 作家名:なお