恋の結末
教室に入る前に時間を確認する。八時ぴったり。授業開始まであと四十分あるということはかなり早くに学校についてしまった方だろう。
早く来すぎてしまった時って何故か時間を無駄にしたように感じるよね。
森には時計がないのになぜ都市には時計があるのかという哲学的な事が頭をよぎる。
しかし、この事を考え始めると世捨て人になってしまう。
それは困る。僕にはそぞろ神からの誘いはまだ来ていない。
「股引なんてどこで売ってるんだよ」
そう独り言ちつつ入った教室には残念ながら先客がいた。
そしてその先客は着替えをしていた。
うん、文字で書くと全くシンプルな一文で書き表せられてしまうが、実際は違う。もっと壮絶で大変なものだ。ちなみに僕はグーで殴られた。とにかく殴られた。
「ばかばかばか、馬鹿、変態」
そう言う彼女は既に僕の上を占領済みだ。楠木正成もびっくりの容赦ない拳が雨あられと降ってくる。
固まってる僕の目を押さえに駆け寄ってきてそのまま押し倒され上に乗っかかられた。……けど、普通先に体の方を隠さないかな? この娘、攻撃本能強すぎだろ。
けどかわいいからオールオッケー。パンチもそんなに痛くないし、上に乗っかかってくれてるおかげで揺れる二つの丘が見えるしねっ。
「あ、あのさ、そろそろ僕の上から退こうよ。ほら、君も何か服を着よう」
僕の上に乗って振り下ろしてくる拳を優しくキャッチした僕はあくまで紳士的に説得を試みた。
決して丘を見飽きた訳ではないが、このままの状態では誰かに見られたら困るからね。
「ふぇ? ……っ、馬鹿、死ね」
僕は本気のグーパンチを食らって意識を失った。
いいストレートパンチ……