恋の結末
「なあ、お前、名前はなんていうんだ?」
「安芸」
「で、結局何してたんだよ」
「うん、そのことなんやけどな」
そこでこいつはちょっと間を開け、ニコッと笑い衝撃的な事を言い出した。
「ウチ、磐手ちゅう人を探してんねんや」
「磐手……、し、下の名前は?」
磐手なんて名前、この辺じゃあ僕の家ぐらいしかないだろう。
「拓也だったはずやけど」
「それ、僕だよ」
「うそっ、ホンマにホンマ!?」
グイッと僕の方に乗り出すと、
「じゃ、じゃあ、何日か此処におらしてくれへんか」
「ま、まあ、数日ならいいよ」
どうせしばらくは親もいないしね。
「もう変えたらアカンからな」
「分かった」
その僕の一言に満足そうな笑顔を浮かべると、安芸はリビングから出るドアに手をかける。
「もう、ウチは寝るわ。寝室はどこや?」
こうして僕の短い一人暮らしは幕を閉じた。