▽夏彦先生の顔が赤いワケ
ごめん、
最近仕事に身が入らない。
少しでも集中しようとすると日向のことで頭がいっぱいになる。
「くっそー!もう仕事どころじゃねぇよ!」
そのせいで只今、残業中。
テストも作らなきゃいけない。授業の準備もしなきゃいけない。
「どーせ・・・からかってるだけなんだよな」
一度そう思ってしまうと、胸が苦しくて仕方ない。
机にうつ伏せ、握っていたペンを手放した。
って・・これじゃあ俺がアイツのことを好きみたいじゃん。
「仕事のしすぎかな・・」
顔をあげて、壁にかかったデジタル時計を見ると
22時をさしていた。
「さすがにもういねーだろ・・・帰るか」
『行かない』って伝えたし、時間的にもあきらめるだろう。
帰る支度をし、冬の澄んだ空の下を
早歩きで進んだ。
作品名:▽夏彦先生の顔が赤いワケ 作家名:豆もや氏