▽夏彦先生の顔が赤いワケ
約束
「さみい・・」
両手をこすり合わせ、息を吐くと
白く色がついた。
ポケットに手を突っ込んで、校門を出た。
「おい」
「うわっ!!」
誰もいないはずの校舎。
振り返らなくてもこの声の主が誰かは分かっている。
俺、これがお化けだったらどんだけ気が楽かって
そっちの方が、今の俺にとっては有難い。
「・・え、なんでいんの?」
「待ってたんじゃん。さすがに音楽室からは追い出されたけど」
単純に考えても4時間は待っていただろう。
「俺、行かないって言ったじゃん」
「でも、待ってるって言った」
凍死するんじゃないかってくらい寒いのに
寒空の下、息を白くさせて俺を待ってたんだ。
俺が女だったらイチコロだよ。
「・・・アホか」
やめてくんないかな、ホント。
正常な判断ができなくなる。
作品名:▽夏彦先生の顔が赤いワケ 作家名:豆もや氏