小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

INDEX|7ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

「QBUは、そのトリッキーな戦略と動きで相手を翻弄し制する。いわば対人特化の武器なんです。そのような人外物体と戦闘するには、まだ改良が必要ですね。それに、今は初期稼働中なので、燃費があまり良くありません。ですので、これ以上動かしたくはないんですよ。」
「クッソ役に立たねえな、オイ!」
その怒りをそのままにハンマーを振るう。
「仕方ないじゃないですか。僕の本分は戦闘ではないんですから。」
非戦闘員の言い訳をこれ以上聞く気になれず、グロウは元気にハンマーを振り続けた。


「いやぁ、片付きましたねぇ。ご苦労様です。」
「・・・・うっせぇよ。」
軽く深呼吸しながらツェリライの労いの言葉を軽く吐き捨てる。
「さて、もうゴーレムもどきは出てこなくなりましたね。」
「で?通路は塞がったままってか?」
RPGならこんな風に閉じ込められたとき、脱出する方法はいくつかある。
1つめは、閉じ込められたフロアに出てきた敵を全滅させること。だが、現状そのようになっても扉は開かないのでこれは違う。
2つめは、どこかに隠しスイッチがあって、それを押すと仕掛けが作動し、扉があく。
3つめは、もう扉は開かないので、どこか別の隠し扉があって、そこから脱出。
可能性の2つめと3つめは、要はフロア内をくまなく探せということなので、ツェリライはグロウにそう提案した。
「あぁ、メンドくせぇ。塞いでるのぶち壊せば済むことだろ。」
案の定こんな返答が来た。グロウらしい。
ツェリライも、別にそれで異存なかったのでそうすることにした。
そして通路を塞いでいる扉の前に寄った時だった。
ドカン!という音がしたかと思えば、上からいきなり何かが落ちてきた。
その何かは、その何かの着地地点にちょうどいたグロウと見事激突した。
「んごあ!!?」
「ラベぶっ!?」
落ちてきた何かは、どうやら人のようだ。激突した両者は、互いに伸びそうになりながらも、すぐさま態勢を立て直し、戦闘が始まった。


「ちっ、なんだこいつは?」
グロウが愚痴る。相手がそうそうやられてくれないのだ。
というのも、異常なまでに動きが早い。5m以上ありそうな距離から一足飛びで間合いを詰め、拳を叩き込んでくる。その拳も異様に重い。
というか、相手はどうやら雷使いのようである。さっきから拳から電撃が迸り、近くに来るとビリビリという、これまたアニメや漫画(以下略)が聞こえるのだ。
対するグロウは、決してスピードではかなわない相手を追う事をやめ、相手がきた瞬間のみを捉え、その捉えた瞬間に一撃を叩き込む。相手もそれに対抗し、決してグロウに捕まらないよう、威力は大きくないが、確実にダメージを与えていくヒットアンドアウェイを取った。
そうなるとやはり不利なのはグロウである。時間が経つにつれ徐々に動きが鈍くなっている。
「電討(でんとう)!!」
相手の技が入る。
「ッ!!おらァ!!!」
グロウのハンマーが唸るが、それよりも早く相手が離れた。グロウがふらつく。その隙を見逃さなかった。
再び一瞬で間合いを詰めると、止めの一撃とばかりに技を繰り出してきた。
「螢光討(けいこうとう)!!」
先ほどの技よりも強力な拳の一撃。
その一撃は、真っ直ぐにグロウのど真ん中に突き刺さった。

硬直する二人。

いや、違う。グロウが相手の腕を掴んで無理やり動きを止めているのだ。
「なっ!?お前。」
「やっと止まりやがった。これなら避けられねぇだろ?」
そして反対の腕でハンマーを振り上げた。
「オラァ!!!」
グロウのハンマーは相手の正面を捉え、吹き飛ばした。
「ぐはァ!?」
勢いそのまま壁に激突する。だが、膝こそ付いたが直ぐに立ち上がり、再び構えた。
「ったく、あの状況で受身なんざ取れるか?普通よ。」
「俺も、技を真正面から受けて反撃されるとは思ってもみなかったさ。」
二人向き合う。そして同時に相手に向かって走り出した。


「はい、そこまででいいでしょう。」
突然二人の体が硬直した。
「!?」
突然の事に戸惑う二人。だが、直前のセリフから察するに、どうやらツェリライの仕業のようである。
「今のお二人には見えないでしょうが、お二人の背面にQBUを付かせて動きをロックさせていただいてます。身体に害は及ばないのでご安心を。」
「チッ、水指すんじゃねぇよ。」
「ええ、そう言うだろうと思ったので止めたんです。始めのうちはお互いを敵と認識し戦闘していたので横槍はいれませんでしたが、途中からただ純粋に闘争に変わっていましたから。グロウさんもあなたも、余計な体力を使っている場合ではないでしょう?」
癪に障るが、ツェリライの言うことも最もである。二人は大人しく矛を収めた。
「すみませんね。仲間が急に手を出してきたりしてしまいまして。」
「いや、こちらこそ済まなかったな。この遺跡はトラップだらけだからな。思わずあんたたちもそういう類のものかと勘違いしてしまった。」
出会い頭に戦闘だったので、第一印象は良くなかったが、今こうやって話してみると、なかなかの好青年である。いや、見た目的には立派に成人してるっぽいが。
「自己紹介が遅れましたね。僕の名前はツェリライといいます。あっちはグロウです。」
「ご丁寧にどうも。俺の名前はカウル。」
「カウルさんは一人でこの遺跡に入ったんですか?」
「いや、連れが一人いるんだが・・・。」
「はぐれてしまったと?」
先が続かないカウルの言葉をツェリライが引き継ぐと、カウルは肩を落とした。
「まあ、面目ないことだがそういうことだ。突然床に穴があいたと思ったら、ここに落ちてきた。ただ、落ちたのは俺だけだったみたいでな・・・。」
「なるほど。となると、ここは巨大な迷路になっていますから、探すのは難しいですね。一番確実な方法は、来た道を帰ることですが・・・。」
その言葉に、一同天井を見上げる。
「ここをよじ登れってか?」
「まぁ、できないことはないけどな・・・。」
「あ、できるんですか?」
「まあ、色々あって鍛えられているからな。ここを登ることは出来ることはできる。だが、落ちてきた時間からして結構な距離落ちたと思うんだよ。それを登ろうと思ったらどのくらい時間がかかるか予想できん。」
「ですよねー。」
「だよなぁ。」

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「まいったな・・・」
「参りましたね・・・」
一同が途方に暮れていたとき、ツェリライの通信機に着信が届いた。


<ルイン組(一人だけど)>
「幸せは〜、歩いてこない〜、だから無理やり歩かせよ〜う♪」
なんか駄人間のような替え歌を歌いつつ歩くルイン。同伴者がいると、何かととやかく言われそうだから一人を選んだのだが、そうすると今度は暇を持て余すこととなった。
途中襲いかかってくるゴーレムもどきはとりあえず軒並み大破。トラップも今のところやばいものはない。
順調といえば順調。暇といえば暇。そんな感じである。
そしてそのまま曲がり角に差し掛かった時だった。
ルインは足を止めた。曲がり角の向こうに誰かいる。向こうもこちらに気付いたようだ。立ち止まる気配を感じた。