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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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「そうそう、あたしだって今は一人でもなんとかできるんだし。」
「いちいち怪我なんざ気にしてられっかよ。行くぞ。」
その言葉を聞いたレックは、ますます不安を覚えたが、一行は分かれて奥に進んでいった。


<レック・アコ組>
「ねぇ、突然答えにくいことを聞くけどさ。」
歩いている途中、唐突にレックが聞いてきた。
「ん?何?」
「アコはその、自分がそんな風に戦う力を持つことに関して、怖いとは思わないのかな?」
アコの腕につけたブレスレッドに目をやりながら質問する。
「ん〜?いいんじゃない?別に。あたしはそこまで気にしていないわよ?むしろ、ツェルにはありがとうってもう一度言いたいかな。」
「そうなんだ?」
「うん。だって、あたしがどんなにあの時の事を忘れようと思っても、やっぱり忘れられないんだもん。
あの時、友達を傷つけてしまったこと。あたしの力を狙ってお父さんとお母さんが殺されてしまったこと。だからちょっと前まではできるだけ力を使わないようにしていた。
そりゃあ、ルインたちと一緒にいてなにか巻き込まれたときは少し使っていたけど、でも本当はそれも怖かった。相手に大怪我はさせていないってわかっていても怖かった。
他の人は無理やりにでも自分のものにしたいと思っているのかもしれないけど、あたしからしたら、無理やりにでもこの力を捨てたかった。
こんな人を傷つけることしかできないのなら。みんなから、あたしから大切なものを奪う力なんて、何が何でも捨てたかったよ。」
アコは俯きながら話し、そこで言葉を区切った。そして顔を上げ、でも、と先を続ける。
「今はそんなこと思わないかな。だって、あの時あたしは、フィーナやレックやルインやほかのみんなを助けてあげられたから。         もちろん今も怖いと思うことはあるけど、それでも、今はみんながいるから怖くない。
あたしは、あたしのために自分の力を使うってことを、いいんじゃない?って言ってくれるみんながいたから。それに、あたしがそんな風に思えたきっかけは、レックのおかげなんだよ?」
「え?ボク?」
突然自分のおかげと言われても、言われた方はうろたえるだけである。
「そ。あの時レックが朦朧としながらも言ってくれた言葉。あれ結構嬉しかったんだ。自分の力を否定しないでって言われたこと。だから今は怖くない。全然怖くないと言ったら嘘になるけど、それでも、あたしはもう怖くないよ。」
そしてアコは、何一つ曇のない笑顔を見せた。
「・・・そっか。それならいいんだ。なんかごめん。変なこと聞いて。」
「別に謝る必要なんてないわよ。ほんとレックはなよってした感じがするわよね。もう少しビシッと自信持っていいんじゃないの?」
「ははは。そうかもね。」
アコの指摘に、自嘲気味に笑うしかないレックであった。


しばらく道なりに歩いていくと、分かれ道に突き当たった。
「どっちに行ってみる?」
「ん〜、なんとなく右に行ってみない?」
「わかった。じゃあ右に行こうか。」
さらに少し歩き続けると、壁に突き当たった。
「あれま、行き止まりかぁ。戻るしかなさそうね。」
「うん、でも少し待って。」
と言うなり、レックは周囲の壁を用心深く調べ始める。
「何やってるの?」
「うん?こういう遺跡ってさ、隠し扉とか仕掛けてあるんじゃないかなあって思ったから。調べてみようと思ったんだよ。」
「あ、あたしも探す。」
そして調べること数分。レックは特にそういった仕掛けはないという判断をした。
やはり行き止まりで間違いない。さっきの分かれ道まで引き返そうとアコに言おうと振り返ったその時。ポチッという、漫画やアニメでは非常によく聞く、だが現実では一度も聞いたことがない、典型的なボタンを押す音が鳴った。
「アコ?何かな?今のポチッていう何かのボタンを押す音は?」
聞かれたアコは、えっと・・・という表情を浮かべている。

ほんの少しだけ時を遡ってみる。
レックの提案に乗って、何か仕掛けがないか調べていたアコは、いい加減諦めようとしていたとき、何か壁に違和感を覚えた。
よく見てみると、壁を構成している石の一つが、妙に出っ張っているのだ。
なんだろうと思っていろいろ触ってみたところ、出っ張っていた石が外れ、中から一つのボタンが見つかった。
作者は常々、ボタンには元来魔力が備わっていると思う。
何が起こるかわからない、正体不明であることは明白なのだから、押してはいけないということはわかっている。
そう、わかりきっているのだ。
だが、そこから放たれる圧倒的存在感、そして振り切り難い誘惑。正体がわからないが故に、余計その魔力は力を増す。
その魔力に打ち勝ち、押さないという選択肢を取れる猛者は、世界広しといえどもそうそういないのではないか。
少なくともアコは、そうそういない猛者ではなかった。
見事誘惑に負け、勢いそのままに押してみた。
そして、ポチッという漫画やアニメ(以下略)を耳にしたレックが振り返ったところで時は元に戻る。


「アコ?なんなのさ?そのボタンは?まさかと思うけど、押してしまったとか・・・。」
返す言葉がないアコ。無言で見つめ合う二人。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・テヘペロ☆」
無理やりごまかそうとするアコと、それを唖然としながら眺めるレックの耳に、ドドドドドドドドド・・・・とイヤ〜な予感しか起こらない音が近づいてきた。


<グロウ・ツェリライ組>
ビシュンビシュン!
「うおおおおおおおおおお!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「ぬがあああああああああああ!!!!」
ズン!!!ズンッ!!!!
「ダァラっしゃああああああああああああ!!!!!」
えーと、こちらは既に絶賛大立ち回り中のようなので、さっきの気合の声はなんだったのかだけ説明しておこう。

一つ目は、壁から無数の矢が飛んできて、グロウが必死にそれを叩き落としていたもの(ツェリライはキューブのメーザーを応用させた全方位シールドを展開していた)。
二つ目は、突然壁が迫ってきて押しつぶされそうになったので、持ち前の馬鹿力で抑えていたもの(ツェリライはグロウが抑えているうちに上を乗り越えていた)。
三つ目は、というか現在進行形で今なのだが、いきなり開けた広間に出たと思ったら、通路が閉ざされ、なんかゴーレムだかなんだかよくわからんのが湧いて出てきたので、それを撃退しているもの(ツェリライは、パッと見戦っているように見えるが、ほとんどグロウに任せっきりで高みの見物をしている)。
「いやぁ、どうやら僕たちが選んだこの道はハズレだったようですね。」
「てめぇあとでぶっ飛ばす!」
迫り来るゴーレムもどきを片っ端から破壊しながら、それでもツェリライに対するツッコミは忘れない。
「僕にそんな正体不明のからくり人形と戦えなんていうのは、なかなかの無茶ぶりですよ。グロウさん。」
「じゃあてめぇのその周りに浮いてるそれは何なんだよ!?」