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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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「それは、ありがたい親切心ですね。甘んじて受けさせていただきます。」
相手の挑発に、丁寧に受け答えをするツェリライである。
あの男のセリフには腹が立つが、一理ある。
ツェリライはルインたちの様に、格別身体能力に優れているわけでもなく(どちらかというと、運動は得意ではない)、アコの様に人並み外れた孔の持ち主でもない。
果たして、どのように戦うつもりなのか。
「せっかくのお気遣い申し訳ありませんが、ごぼうはごぼうなりの戦い方というものがありまして、せっかくですから相手になってください。
              『QBU(キューブ)』」
すると、ツェリライの言葉に呼応するかのように、ツェリライの背後から何かが浮かんできた。
それは、だいたい一辺が30センチ程の銀色に輝く綺麗な立方体だった。
「なんだこれは?」
「簡単に言えば、これが僕の武器です。では、行かせていただきます。」
フォンフォンという、UFOが飛んでいるかのような音と共に、その立方体、QBUは相手に向かって飛んでいった。
「へ、こんなもん片手でひねり潰してやるよ。」
それはフラグというものである。
案の定、相手が放ったパンチはものの見事にかわされた。続けて攻撃するも、全てかわされる。ラッシュを打ち込んでも、結果は変わらず当たらなかった。
逆に、攻撃の隙をついてQBUの方が相手に攻撃を加えている。
最初は余裕ぶっこいていたが、今や完全に余裕をなくしている相手は、必死にQBUを追い掛け回す。
だが、やがて力尽きた。
しかし、未だ闘士は衰えていないのか、それともただ単にムカついただけなのか。口答えはしてきた。
「お前、こんなおもちゃで人をたぶらかしやがって。戦いをなめてんのか。真面目にやりやがれ!」
口は災いの元。この言葉を、直後この男は痛感することになる。
男がさっきの言葉を言った直後、プチッと何かが切れる音がした。いや、実際にそんな音がしたわけではないが、その場にいる全員がそんな幻聴を耳にしたのだ。
「そうですか、おもちゃですか。そうですねぇ。これは大変失礼なことをしました。では忠告に従って、本気であなたをぶちのめさせていただきましょうかね・・・。」
静かな口調が逆に怖い。
そして、ツェリライの背後から、ぶわっと数多のQBUが飛び出した来た。
男がその後どうなったかは、読者の想像におまかせしとく。まあ、「死なない程度にボコボコにされた」というのが一番妥当か。


「いやぁ、驚いた。意外と強いのねそれ。」
「うんうん。」
こっちにまでいらぬ飛び火が来ないように、お怒り中のツェリライ様をなだめるような声をかける一同であった。
少し経ってツェリライが落ち着いたあと、いつもの感じで説明を始めた。
「このQBU(クエストブレイクユニット)は、僕自身の意思と直結して操作しています。ですからコントローラーは不要なんです。最大で、20個のQBUを操ることができます。」
「へぇー、ってちょっと待った。それって、ツェルが全部ひとりでひとつずつ動かしてるの?さっきの動き見るからしてオートコントロールじゃなさそうだったけど。」
「ええ、そうですよ。」
「・・・それってつまり、頭の中でとは言え、ツェルは一人で同時に20個のラジコン操作してるのと同じだよね?」
「まあ、ラジコンとは違いますが、そのような考え方で間違いないですね。」
想像してごらん。もしも自分が同時に20個のラジコンを操れと言われたら。
結果は想像するまでもなく、出来るわけがない。最終的に動かすのは一つになる事間違いなしだ。
それをさらりと成し遂げる処理能力の高さは、人並みではなかったようだ。
「それと、エネルギーの消費が大きいので使用しませんでしたが、僕自身の孔とエネルギーを凝縮したレーザーも発射できます。ほかにも幾つか機能はついていますよ。」
身体能力や孔で対抗できないなら、自分の得意分野(テリトリー)に持ち込んで戦う。その答えがツェリライのQBUであるようだ。


前座を倒した一行は奥へと進む。
入口に入ってすぐ、大きな石橋にたどり着いた。下を見ると、どこまで続いているかわからないほど深く暗い谷が広がっている。
「落ちたらどうなってしまうのでしょうかね?」
「怖いこと言わないでよ。」
「大体こういう場所にかかってる橋っていうのは、何かが引き金になって崩落するんだよねー。」
「だから!!あたし高いところ嫌いなんだから!」
「ごめんごめん。ま、何かあったときはどうにかするよ。レックが。」
「え!?ボク!!?」
突然、名指しされ慌てるレック。
「おやおやぁ?何をそんなに慌てているのかなァ?」
ひじょ〜にウザったい感じで詰め寄るルインにまごづいているレックに
「メンドくせぇなら、コイツのいる場所だけ崩落させてやるぞ?」
物騒な助け舟を出すグロウであった。


結局何も起こらなかった橋を通り抜け、しばらく進むと、道が三つに分かれていた。
「ふむ、どうしようかねぇ。」
「安全策を取りたいのであれば全員がどれか一つ、同じ道を進むべきですね。効率優先なら、ここで分かれて進むべきでしょう。」
「どうするの?」
「そりゃまあ、分かれて進むべきじゃない?入口にいたのが言ってたように、先にこの遺跡に入っている人はいるんだからさ。」
ルインは、分かれて進む方がいいと考えている。
「でも、この中は何が潜んでいるかわからないんだよ?分かれて少人数になったら、個別で全滅してしまう可能性もあるんじゃないかな?」
対して、レックはひとかたまりで安全に進むほうがいいようだ。
こう、どっちもそれなりのメリットとデメリットが揃ってしまうと、どちらを選べばいいか迷ってしまう。
かと言って、このままここで立ち往生する訳にもいかない。というわけで、ちょうど人数も奇数だし、ここはひとつ多数決で決めることにした。
結果、分かれて進むことになり、相談の結果、レック・アコ、ツェリライ・グロウ、そしてルイン一人という振り分けになった。
「じゃあ、行くとしましょうかね。栄光のお宝へ向かって、レッツらゴー!」
そしてルインは勇ましく足を踏み出した。
「待ってください。」
それをツェリライが止める。
「も〜〜。なんだよ。本当にツェルは揚げ足取るのが好きだよね。」
ふてくされるルインをよそに、ツェリライが全員に何かを配り始めた。
「これは簡易通信機ですね。電波塔を介さず、直接その媒体から媒体へと通信をつなぐので、ここのような塞がった場所や地下でも通信が繋がります。」
ツェリライがあまりにもさらりと言ってのけたため、そうなんだと聞き流しそうになったが、引っかかることが一つ。
「電波塔を介さず通信って、当然お上の認証はもらってないんだよね?つまり、通話料ちょろまかしてるのと同じわけで。それって、違法なんじゃ・・・」
「コマけぇこたァ気にすんなの精神でいきましょう。ともかく、それで分かれていてもお互いの連絡が取れます。ですから、何か起こったときはすぐに知らせるようにしましょう。」
「りょうかーい。じゃあ、今度こそ行こうか。」
「みんな怪我とかしないように。」
「そんな心配性になることはないって、レック。」