ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!
「生贄にしようと目論んだわけですか。それで、まさかお二人もルインさんの家に・・・?」
「いや、それは二人共断ったよ。そこまでいたりつくせりは受けられないって言って。」
「なるほど、事なきは得たと。まあなんにしても、あのお二人が一緒になるというのは嬉しいことですけどね。」
「えっ?」
と、レックが意外そうな顔でツェリライを見た。
「何をそう鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしているんですか?親しい人が増えるというのは、理由を関係なしに嬉しいものではないですか。」
「あ、ああ。なんだ。うん、そうだよね。」
「・・・何を考えていたんですか?」
調子を合わせて流そうとしたレックだったが、ツェリライのジト目ロックから逃れることはできなかった。
「い、いや〜〜。なんだかツェリライがそんなことを言うなんて、な〜、みたいな?」
「・・・オタク系閉じこもり派である僕が、人間関係が広がることに対して喜びを感じることに意外性を感じたと?」
「い、いや!そこまでは思ってないよ!?」
「『そこまでは』ということは、そのようなことは考えていたわけですね?」
「ぁ・・・・・・・」
倍々ゲームのように顔から冷や汗が増えていくレック。そして観念して土下座した。
「ごめんなさい。」
「いや、土下座をする必要はありませんよ。やれやれ、ルインさんではありませんが、あなたは本当にいじりがいのある方です。」
「もう、ツェリライまで・・・」
「ふふ、まあそれは親しみやすいという事の裏返しでもありますから、誇ってもいいんじゃないですか?」
「随分と誇れない誇りだね。捉えられ方間違えたら、ボクはドMですって言っているようなものだし。」
「いいじゃないですか。それで立派なキャラが立つのなら。」
「よくないよ!」
「ほらほら、皆さんもう帰り支度を済ませていますよ。僕たちも帰りましょう。 『あなたの家』にね?」
含みを持たせた言い方に、レックは立ち止まる。
「ツェリライ・・・?」
「あなたは居候ではないということですよ。無理にこちらに合わせようとせず、もっとのびのび生活したらどうですか?新たな親近者が増えましたし、ちょうどいい機会ですよ。」
レックは基本、家の家事全般をこなしている。その原因は、もう一人の住居人のせいなのだが、なんだかんだ言いながらもレックはそのことをそこまで苦にしていないようではある(レックはいい嫁になりそうとか言ったらダメだよ)。
だが、時折見せる壁のような雰囲気を醸し出していることを、ツェリライは時折感じていたのだ。
「はは、さっきアコにも似たようなことを言われたよ。」
「ほう、意外とアコさんも鋭いんですね。グロウさんは、まあ見ての通りの人ですから、そういったセンチメンタルな部分を読み取ることをしようとすらしないと思いますが。」
「それは言えてるかも。」
クスクスと笑う二人の向こうで、ヴァックション!!と派手なくしゃみがなった。
作品名:ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント! 作家名:平内 丈