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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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サラリと言っているが、普通、一つの属性を操るので精一杯のはずなのだが。いや、そもそも、属性を操れること自体結構すごいことなのだが。
ハルカは、そんなアコの能力の高さと、それを自覚していないアコ自身の両方に驚いていた。
「アコさんはいくつの属性を操れるのですか?」
「うーんとね、6つよ。」
自信たっぷりに両手で六本の指を立ててみせた。
「・・・本当ですか?」
ハルカはというと、あともう少しで顎が外れそうな感じだ。
「本当よ。驚いた?」
「はい。でも6つの属性を操るアマンドビューターという方は聞いたことがないです。もしかするとアコさんは、全属性使い(オールビューター)なのではないですか?」
「オールビューター?」
二人が揃って疑問符をつけた。
「はい、この世界には現存する八つの属性全てを操ることができる方が、本当に極稀に存在すると聞きます。そして、オールビューターの方は、初めから全ての属性を使えるというわけではなく、何かをきっかけにして使えるようになることがあるそうです。」
何やら壮大な話が始まったが、レックが疑問を投げかける。
「でも、アコがそのオールビューターであるという確証はあるのかい?6つの属性を操れるアマンドビューターという可能性だって・・・。」
「はい。ですが、アマンドビューターの方々のその殆どは、操れる属性は2つか3つ。4つという方も稀に存在しますが、5つ以上の方は確認されていないのです。ですから・・・」
「アコはもしかすると、闇と光も使えるようになるかもしれないということ・・・?」
「はい。」
真剣に話す二人を、当事者であるはずのアコはキョトン顔で眺めていた。
「どうしたの二人とも?そんな真剣な顔しちゃって。」
レックがこれでもかと言わんばかりに呆れる。
「あのねぇ・・・アコ。同じ属性でも光と闇は格別なんだよ。普通、属性同士の相性はあっても、どちらが強いといった優劣はほとんどない。それは、使い手によって決まるものだから。でも光と闇だけは違う。」
「この二つの属性は、他のいかなる属性を以てしても打ち破ることはかなわず、それだけに多大な孔を使用するといいます。そして、光か闇、このどちらかを極限に操れる方がいた場合、この世界を滅ぼすこともできると言われているのです。」
「わかる?アコはものすごく大きな孔を持っていて、なおかつ、光と闇、両方操ることができる可能性があるんだ。」
ここまで言われて、アコは事の大きさに気づき始めた。
「それって・・・。」
「今まで以上に危険な連中からアコが狙われる可能性がある。それだけじゃない。アコの存在そのものを危険視して排除しようと国が動く可能性だってある。」
「そんな・・・」
いきなり国から狙われるかもしれないと言われても、言われた方は狼狽える事しかできない。
「おーい、どしたのみんな?さっきから待ってたのに、全然来ないから暇してたんだけど。何やら真剣な相談事?って、どしたアコちゃん!?なんか泣いてるけど!?」
「どうしよぅ・・・」
そのまま突っ伏すアコ。
「どしたの・・・?」
「実は・・・」
アコを宥めるレックを心配そうに眺めながら、ハルカが事情を説明した。
「なるほどねぇ。世界を滅ぼしうる力に、それにより生み出される危険。それに何より、そのことにより僕たちが傷つくことを恐れているのかな?アコちゃんは。」
「・・・うん。」
少し落ち着いたアコが頷く。
「まあ、一個人が持つにしては確かに壮大すぎる話だね。でもさ、そんな泣くほど大事?」
「ルイン!!?」
ルインの言葉に、どうでもいいよ風な雰囲気を感じたレックが憤慨する。
「ああ、どうどう。落ち着いて。まあ確かにすごい話だよ?でもさ、結局今の話は『かもしれない』という可能性の話だよね?
もちろん、可能性がある以上、そうなってしまうかもだけど、そうならないかもしれない。そうなってしまうかもの可能性の方が高いけど、そうならないかもの可能性だってあるわけだよね?
先のことを案じて心配するのは今後の対策にも役に立つしいいと思うけど、ただただ不安に駆られるだけになったら、にっちもさっちもいかなくなるよ?」
「でも・・・」
「先を見据えるのではなく、先に怯えるのは何一つ利益を生み出さないと思うよ?なんだかんだ言って人は強制的に前に歩かされる。
それなのにその先を怖がってたら、それに気を取られて他に面白いものを見落とすかもしれないしさ。
怖いかもしれないし、不安かもしれないけど、少なくともその不安は『今』じゃないんだ。だから『今』は肩の力を抜いておこうよ。じゃないとへばるよ?」
ルインが励ます。
「うん・・・。」
それで少しは元気になったようだが、やはり不安は拭いきれていないようだ。表情が浮かれない。
「それでもやっぱり心配だというなら、もう一つの可能性を示唆してあげようか。」
「もう一つの可能性?」
「『アコちゃんが残りの二つの力に目覚め、世界に嫌われた時、僕らが世界ごと叩き斬る』   どやぁ?」
これぞまさしくドヤ顔。教本に載せたいぐらいだ。
それを見たアコが吹き出した。
「世界ごと叩き斬る。ですか。とても気宇壮大な話ですね。」
「だよね。その壮大な話にボクたちも巻き込まれるから大変だよ。」
「ですが、温かい言葉です。」



『心配しないでください。あなたの事は私たちがきちんとお守りいたします。』

ふと、懐かしい言葉がハルカの脳裏をよぎった。
「ですが・・・。」
「うん?どうしたのさ?ハルカ?」
「いえ、少し考えにふけっていただけです。    ! 皆さん、気をつけて!」
「え?何!?」
「わずかですが、振動を感知しました。何かが来るかもしれません。」
「え?何?まだ終わってませんでした系?それともさっきのやつの第二形態でも出てくるの?」
全員で辺りを警戒する。やがて、振動は他の皆にもはっきりと感じられるほど大きくなった。
そのまま4人は警戒を続けていたが、ふとルインが気づいた。
「あのさ、もしかしてこの振動って、何かが来るんじゃなくて、さっきの攻防のせいで脆くなったここが崩れようとしてるんじゃないかな?」
「あ・・・。」
ルインの予想に「正解ですよっ!」と言ってくれているかのように、頭上から瓦礫が落ち始めてきた。
「よし、逃げよう!みんな、こっち!」
ルインは一直線に祭壇に向かって走り出した。
「何やってんのさルイン!?欲ボケで命を捨てる気!?」
「違うわ!そうじゃなくて、ここの祭壇の裏に隠し通路があるの!」
「それ、どこの通じてるのさ!?」
「大丈夫!ご丁寧に『出口』って書かれてるし!来た道もどるって言ったって、道わかんないじゃん!」
ルインにそう言われ、全員祭壇の裏に潜り込んだ。
もちろん祭壇に飾ってあった秘宝はきっちりと手に入れて。


「おい、ツェル!しっかりしろ!」
グロウが呼びかけるが、反応がない。倒したと思っていた巨大蠍が最後の力を振り絞り、一撃を浴びせたのだ。
「大丈夫だ。脈は安定している。おそらく気絶しているだけだろうから、一足先に出口に行っていてくれ。俺はこいつを片付けてから後を追う。」
「おう。」
グロウがツェリライを背負い、祭壇の裏へと消える。