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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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「わ、わかった!どうすればいい!?」
「とりあえず僕とふたりで・・・。  !! ハルカちゃん危ない!」
「え?」
ハルカの後ろから巨像の拳が迫る。咄嗟にかわそうとしたが、一瞬遅かった。
「きゃああ!!」
攻撃を完全にかわしきることができず、ハルカは壁に向かって飛ばされる。
「風霊(ルドラ)!  ダンフォングウィンド!」
アコの孔に呼応して、ハルカの体を風が包んだ。
「大丈夫?」
「ありがとうございます。私は大丈夫です。えっと・・・」
「アコよ。あなたの名前は?」
「ハルカといいます。助けてくれてありがとうございますアコさん。」
女子二人の談笑は平時なら目の保養になるが、今はそんな流暢なことを言っている暇はない。
「えーっとお二人さん。自己紹介が済んだらこっちに戻ってきてもらっていいですかね!?ちょっと手一杯!」
「わかったわよ。それで、何をすればいいの?」
「僕とレックで引きつけておくから、アコちゃんが力いっぱい粉砕して!ハルカちゃんはアコちゃんの援護をよろしく!」
「わかった!」
「わかりました!」



「畜生が!図体の割に動き早えだろ!!」
「二人共!周囲に気を配れ!!」
「承知しています!」
カウルが引きつけ、ツェリライが援護し、グロウがとどめを刺そうとしているのは、5mは越えようかという巨大なサソリ。
コイツがまあ面倒くさい相手なのだ。鉄のように硬い甲殻、その硬い甲殻でできたやたらとでかい鋏、そして振るうたびに風が巻き起こる程のでかい尾。おまけと言わんばかりにその尾からは毒針が射出される。
「せめて鋏か尾、どちらか片方を封じることができればいいのですが・・・。」
だが、生憎とこちらの面々は斬撃が使えるのがいない。
不利な状況の中、それでもなんとしても超えなければならない壁。
なぜなら、その壁の先にあるのが、自分たちが探していた秘宝なのだから。
「くそ、相手の攻撃を封じれないなら、何とかして頭をつぶしかない。ツェリライ!それであとどれだけシールドを貼れるんだ!?」
「そうですね、あの蠍の攻撃を防ぐほどとなると、持って一分が限界です!」
「一分か・・・それならなんとかなるかもしれない。グロウ!尾と鋏は俺で何とかする!お前は頭を全力で潰せ!」
「おうよ!」
「よし、本気で行くぞ!    ふッ、充電!!」
気合一発。するとカウルの体から電流が迸った。
「ツェリライ、今だ!俺の全体をシールドしてくれ!」
「了解です!QBU!Allfield(オールフィールド)!!」
カウルの全体にQBUが浮かぶ、そして互いにレーザーを照射し、レーザー同士でQBUが繋がった。そして薄い青の膜が張られた。
「翔ばすぞ!!」
カウルの一足は、今まで見たものよりも明らかに早かった。
「なるほど、電流を体内に流し込むことで運動神経を発達させているわけですか。流す量が少なければ意味はなく、多ければ身体に危険が及ぶ技ですね。それを見事使いこなしている。」
「石火電光(せっかでんこう)!!」
超高速の体当たりの連撃。実際は体当たりではなく、エルボーやタックル、普通のパンチもしているのだが、その速さゆえに見ている側からすればわからない。
この速さには蠍も追いつくことはできない。カウルの為すがままにされている。
「おおおおおおおおォッ!!」
ついに、尾の先端にヒビが入った。
「もう一発!」
最後の気合の一発。尾が砕けた。
その衝撃により、蠍がダウンした。
「今だ!やれええええ!!」
「おっし、行くぞコラ!  ギガント・ホームランハンマー!!!」
猛烈に力を込めたグロウ渾身の一撃。それは衝突により激しい衝撃波を生み出し、蠍の頭を粉砕した。
「ダメ押し、これで終わらせてもらうぞ!!
                 雷制(らいせい)! 雷鎚(いかづち)!!!」
蠍の頭上高く飛び上がり、極限まで貯めた電撃を高速落下とともに叩き込む一撃。それはさながら、天から打ち下ろされた鉄槌のようであった。
巨大蠍を撃退し、三人は祭壇へと歩み寄る。そこに祀られていたのは、拳大の石。正直、お世辞でも綺麗とは言えない、河原に落ちていそうな深緑の石であった。見ると、片面に窪みがある。
「これが、あのフェローなんとかなのか?」
「汚ぇ石にしか見えねぇけどな。」
「わかる人にはわかるものなのでしょう。かく言う僕も、少し興味がありますし。とりあえず、手にするべきものは手に入れました。戻りましょう。」
「戻るといっても、どうやって戻るつもりだ?」
真剣なカウルの疑問に、ツェリライは卵かけご飯を作るかのような気楽さで答えた。
「え?どうやってって、祭壇の後ろを見ればわかりますよ?」
言われるまま二人は祭壇を回り込んで後ろを見てみた。
「なるほどな。」
一言目にそれが出た。祭壇の後ろに穴があいており、階段が降りている。ご丁寧に、穴の横にExit(出口)と書かれた文字が掘られている。
「ここまで辿り着いた者への労いなのか、はたまたここに秘宝を置いた方が作ったものなのか。どちらにせよ、僕たちにとってはありがたいです。体力ももうありませんし。」
「そうだな、帰るか。残りの連中はどうする?」
「ああ、それなら僕が連絡を入れておきます。なんだかんだ言って強い方たちですから、戻ってくることは出来るでしょう。時間はかかるかもしれませんが。」
そうして通信機を取り出し、操作している時だった。
「まずい、ツェリライ避けろォ!!」
カウルの怒号が飛び、それに反応して顔を上げたツェイライの目に、巨大な丸太ようなものが迫っていた。


「破断閃(はだんせん)!!」
もう何発うったかわからないが、その何発か目でようやく足が切断された。
片方の支えを失い、巨像は膝をついた。
「ふぅ。よし、アコちゃん止めよろしく!!」
ルインが元気よく叫ぶ。
「オーケー。任せなさい!!」
先程から集中していたアコがありったけ込めた孔を解き放つ。
「地霊(プリティヴィー)   スウィンカームゼマイレン!!!」
地鳴りが起き、突如地面から巨大な岩でできた腕が飛び出した。
「ぶっ壊しなさぁぁぁぁぁああいい!!!」
巨大な岩腕は、鞭のようにしなりを加え、巨像を打ち砕いた。


「チャララ チャッチャッチャーン♪ルインたちは、巨像を倒した!!経験値37564を手に入れた!」
「・・・何言ってんのさ?」
肩で息をしながらもレックがつっこむ。
「ん?いや、何か言いたくならない?こういう大ボス倒した時って。それよりほら、番人を倒した勇者たちは秘宝を手に入れないと!」
「はいはい、全く。あんな激闘の後なのによくはしゃげるね。その無尽蔵な体力が羨ましいよ。二人共、大丈夫だった?」
レックは一人浮かれるルインをほっといて、女子二人に問いかける。
「大丈夫よん。ちょっと疲れちゃったけど。」
「私も大丈夫です。最も、大してお役には立てていませんけど。」
テヘヘと自嘲気味に笑うハルカだったが、それに対しアコはかぶりを振った。
「何言ってるのよ。あなたがいたから私は孔を込めることに集中できたんじゃないの。すごかったわよ、あの風。飛んでくる岩とか全部吹き飛ばすんだもの。あたしはまだ風はうまく使えないから羨ましいわ。」