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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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と、そこへアコが、今こそ自分の出番だとばかりに誇らしげに腕を前につきだした。
「展開(アスバム)!!」
ブレスレットがその言葉に呼応し、小さく光る。杖を展開させたアコは、杖に孔を込め始めた。
「火霊(アグニ)    エクスプロディオ!」
気配の裂迫。直後二人を閉じ込めていた石壁は、爆発とともに砕け散った。
「どう?これがあたしの練習の成果よ。」
アコはこれ見よがしに胸を張る。レックはというと、素直に感心していた。
だが、そんなのんびりとしている暇はない。二人に向かってゆっくり降りていていた天井が、振動し始めたのだ。
いや違う。振動しているのは天井だけではなく。この通路全体だ。
「ちょっと、今度はなんなのよ?」
次から次へと襲い来る災難に、いい加減うんざりしたアコが文句を言う。
「多分、この通路自体が脆くなってて、さっきの爆発で崩れ始めたんじゃ・・・。」
レックの予想は当たっているようだ。徐々に揺れが大きくなり、天井から瓦礫が落ち始めてきた。
「逃げるよ!アコ!」
「ぁあもう!さっきから走ってばっかりぃ!」
愚痴ったところでしょうがない。二人はまた走り出した。


こちらは、ツェリライ御一行。かなり奥深くまで進んできた。
「ったく、まだ着かねえのかよ?」
先程からずっと歩き通しで、目的地に到着する気配のないため、グロウが軽く愚痴る。
「まあ、この遺跡の最新部に眠っている秘宝というぐらいだからな。そう簡単にはたどり着けないだろう。」
「そもそも、このルートが本当にゴールまで続いているのかすら疑問ですしね。」
「まあ、そういうことだな。   っと、二人共。止まれ。」
と、カウルが突然静止をかけた。
「隠れてないで出てこいよ。こちとら、そっちに危害を加えようとしているわけじゃないんだ。」
誰もいないように見える通路に呼びかけた。すると
ぱらりと、何もなかったはずの通路の壁が剥がれた。そしてそこから一人の初老ぐらいの男が現れたのだ。
「ふむ、この『ミラージュマント』は自信作だったんじゃがな。一発で看過されるとは。もう一度作り直す必要があるか。」
「何、擬態は完璧だったさ。俺はただ単に相手の気配を読む修練を積んでいただけだ。それで?あんた何者だ?」
男はマントを小さくたたみ収納し、名を名乗る。
「わしの名はディルカーン。考古学を専門に、様々な分野の科学を研究しておる。」
その名前を名乗った瞬間、後ろから暗い殺気が・・・
「へぇ。あなたがディルカーン先生でございましたか。先程はあなたのお弟子さんから随分な歓迎を受けましたよ。ここでお礼を言わせていただきますね。あなたのお弟子さんは人の傑作を平然と玩具呼ばわりできる猛者でしたよ。」
刺混じりの感謝を述べる。
(ああ、あいつまだ根に持ってんのか・・・。)
その執念深さを呆れるグロウに、カウルが質問する。
「なあ、何かあったのか?凄まじく殺気立っているんだが・・・。」
「まあなんだ。入口でなんか意味わからんこと言って邪魔してた小僧いなかったか?」
「ああ、いたな。簡単にあしらえたが。」
「そのガキにあいつの得物貶されて軽くキレたんだよ。」
「・・・それで?相手は大丈夫だったのか?」
「生きたまま生ゴミにされた。」
「・・・そうか。それはご愁傷様だな。」
「ったく、妙な矜持持ってる奴はめんどくせえんだよ。」

「それで?あなたも僕たちの行く手を阻むおつもりですか?それならば遠慮せず実力行使に出ますが。」
既に戦闘態勢に入っている。よほど腹が立っていたと見える。
そんなツェリライを、ディルカーンは落ち着いてなだめる。
「まあまあ、そういきり立つでない。あれは弟子というよりは、わしが考古学の研究をしている道中に拾ったようなもんでな。以来、わしにくっついて離れんのだよ。だが、あれが君たちになにか無礼を働いたというのなら、責任者として謝罪させてもらおう。すまなかったな。」
と、尊大な態度をとるわけでもなく、きちんと謝罪をしてくれた。心を込めた謝罪というものは人の心を寛大にさせるもので、ツェリライもその例外ではなかった。
「いえ、こちらこそつまらないことであたってしまって申し訳ありませんでした。しかし、それでもそこをどかないという事は、やはり道を通すおつもりはないのですか?」
「そうだな。わしは見ての通り老いぼれじゃ。君たちのような若衆と同時にスタートしたのではまず勝ち目はなかろう。故に壁に隠れてやり過ごし、好きを見てガスで眠らせようと考えていたんじゃが・・・。こうなっては仕方あるまい。」
と、ディルカーンは見るからに重厚なグローブを取り出し、装着した。
「力ずくでも止めさせてもらうぞ?」
その構えは、入口にいた弟子もどきのそれとは違い、かなり堂に入っていた。
ツェリライもそれに応じ、QBUを展開させようとしたが、カウルに止められる。
「ああ、済まないが、俺にやらせてくれないか?さっきむやみにあんたたちを襲ってしまった詫びをしたいんだ。」
「それは、構いませんけど。別に気に病む必要は微塵もありませんよ?」
「まあ、俺はそういう性格なんだ。一度誰かに借りを作ってしまったと思ったら、きちんと返さないと気がすまない性質でな。まあ、自己満足だとでも思っていてくれ。」
そして、ディルカーンとカウルの両名が対峙した。
「そこそこ年取ったおっさん相手は少し気が引けるが、まあ怪我しても悪く思わないでくれ。」
「ふん。老いぼれと甘く侮れば怪我をするのはそちらのほうだぞ?若造よ。」
「何、その構えを見て侮るのはただの馬鹿だよ。侮らないからこそ、あとが気になるんだよ。」
「言うてくれる。      ゆくぞ!」
気合と共にディルカーンは一気に距離を詰める。
(できる限り態勢を低くして、致命傷をもらう前に決着をつけるつもりか。   だが!)
「はッ!!」
ディルカーンの拳が叩き込まれる直前にカウルは跳躍し、ディルカーンの背後に降り立った。
「たァ!!」
そして振り向きざま拳を叩き込む。だがディルカーンも年を全く感じさせない驚くべき敏捷性で体をひねり、防御した。その後繰り広げられた応酬も、カウルに対し全く引けを取らない戦いぶりを見せた。
そして互いに間合いを取る。
「あんた本当に考古学者か?それとも、最近の考古学者はそれぐらい戦えないとやっていけないのか?」
思わず半ば呆れ口調で感心するカウル。
「何、わしは研究のためにあちこちを旅するのでな。この程度の護身術は必須項目じゃよ。とはいえ、戦闘力はそちらの方が上。長期戦になればこちらの不利は明白。というわけで済まないが・・・」
ディルカーンは腰を深く落とし、気合を込める。
「決めさせてもらうぞ・・・!」
そして一気にカウルのもとへ突っ込んできた。カウルも相手がいかなる動きを取ろうとも対応できるよう構える。
だが、二人の距離がなくなったその瞬間、突如閃光が瞬いた。
「!?」
咄嗟に距離をとる。ほんの目くらましとして撒かれた閃光玉。それは、自らの使命をしっかりと果たした。
煙幕により見失った相手は、既に真後ろへと迫っていた。
「ッ!!」
「遅い!!!」
カウルの対応よりも早くディルカーンの拳が入る。そしてそのまま拳と蹴りの乱打が始まった。