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欲望の果て

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純一郎は顔を真っ赤にして少し取り乱した
専務室のドアを閉めると赤城が応接セットのソファーに座るように促した
「昨日はご苦労だったな、遅くまで悪かったな、涼子さんは怒ってなかったか?」
「こちらこそありがとうございます、家は大丈夫です」
「そうか、それなら良かった、これからは戦略営業室長として接待も増えるだろうからそのへんはちゃんと話しておけよ、社内でも愛妻家で有名なお前を欧州赴任、次は接待業務で家庭不和を起こしたとあっては、またまた俺が社内で悪評が増えるからな」
「いえ、赤城専務そんなめっそうもない!公私混同は致しませんよ、男にとって仕事は命の次に大事なものですから、時間を割き最優先事項にするのは当たり前ですよ」
「そうか、そう言ってくれると安心だ社内には家庭に執着の無い俺が愛妻家のお前に嫌がらせで欧州赴任させたと言うやからもいるからな」
「そんな事言う奴ほど専務、仕事は大したことないじゃないですかね」
「そうだ、くだらん戯言を言っているなら仕事しろって事だ」
「それよりどうだった?」
「どうって?何がでしょうか専務」
「何って・・決まっているだろ美沙ちゃんだ」
「美沙ちゃん・・って彩の昨日の子ですか?」
「そうだ、それ以外誰がいるってんだ」
「どうって・・昨日初めて会ったばかりで少し話しただけでまだ何というかどうこうってのは・・」
「馬鹿だな、女ってのは最初が肝心だググっと引いてだな、強引過ぎて相手が少し引くだろう、そしたらこちらも緩めてりリリースだ、そして次に女がこちらが緩め過ぎてつまらないからまた寄って来たときに一気に引きつけるんだ、もちろんこの時には体もだ」っと言いかけるとドアをノックして宇佐美香織が二人にお茶を用意してきた
「失礼します、お茶をお持ちしました」
ソファに座っている純一郎の視線の直ぐ側を宇佐美香織の短いタイトよりスラリと伸びた脚が横切る・この高さで宇佐美香織を見るのは初めてだったので思わず純一郎は紅潮した
純一郎にコーヒー、赤城にいつもの煎茶を並べて宇佐美香織は赤城の前で一礼して去ろうとすると赤城は宇佐美香織の太腿を触りながら
「芹沢、綺麗な脚だろう、宇佐美君の脚は社内一、東京一かもしれんな」
「失礼します」宇佐美香織は気にもせずドアの向こうへ去って行った。
「あいつも来た頃は初心で可愛かったんだ、俺が少し触れば体をビクつかせて、今のお前みたいに直ぐに顔を紅潮させてな」
「はっ・・はあ〜」コーヒーにミルクを混ぜながら純一郎は先程の赤城の様子にあっけにとられていた、社内でしかも部下の前で平気でセクハラまがいの行為をやってのける赤城にある意味違う世界を見た気分だった。今までの赤城のイメージは情報と数字に精通したビジネスマシーンとも思える紳士でこの五菱商事で純一郎にとっては数字の神様的な目で見てきた人物像だっただけに昨日の彩の出来事と言い赤城という男の多面性に驚かされるばかりだった。
「で、話は戻すがどうだ芹沢、美沙ちゃんは嫌いか?」
「いや、そんな事は良い子だと思いますよ、でもまだ昨日少し話しただけなのでこれからはい頑張ってみます」
「そうか!良かったやっぱ智香ママの目は確かだろう、お前に合いそうな子をチョイスしてくれたんだ、間髪いれずに次の手をいれるんだぞ芹沢!手を入れるといってもいきなりアソコは駄目だぞ!」赤城は中指を立てて言った
「専務、それは行き過ぎですよ」
「何を坊ちゃんみたいな事を言ってる、男はもっと楽しめ、仕事も遊びも、よし決めた明日また彩に行くぞ!ちゃんと家に言っておけよ、それと今日は早く帰って家族サービスをするんだ」赤城は勝手に純一郎のスケジュールを決めるとデスクの内線で秘書の宇佐美香織を部屋に招き入れた、自分の横に宇佐美香織を座らせると赤城は宇佐美香織の胸元に手を滑りこませながら
「香織、今日はどこへ行こう?」と宇佐美香織に問いかけ始めた
純一郎は気まずくなり
「では、専務失礼します、ま・・また明日宜しくお願いします」とソファを立ち挨拶した
「おうっ!ご苦労!また明日な!」と宇佐美香織の胸元を弄る手と反対の方の手を軽くあげると気前よく声だした。
純一郎は専務室を出ると、営業戦略室に戻って、室長秘書をしばらく見ていた・・見ながら少し先程の専務室のような光景を自分とこの室長秘書に当て嵌めて想像してみた。
少し、ぼうっとしている純一郎に室長秘書は声をかけた
「芹沢室長、・・・」
「芹沢室長!!」
はっと純一郎は我に返った
「どうしたのですか、何か私に付いています?」
「いや・・なに、何も付いてないよ・・どうしたのかなまだ時差ボケかな」
「そうかもしれませんね、今日は早く帰ってお休みになられたらいかがですか?後の予定は上手く私がキャンセルしておきますから」
「そっ、そうかい助かるよ、じゃあ今日は君の配慮と言葉に甘えて早めにあがらせてもらうよ、ありがとう」
デスクに戻ると純一郎は早々に荷物を片づけて帰路に着いた。会社のビルを出たところで純一郎は久しぶりに早く会社を終われたので涼子と外食に出ようと思い涼子に電話をかけた、欧州赴任以来二人で過ごす時間も久しくきっと喜ぶだろうと思った、新次郎は近くに住む涼子の母親が見ていてくれるはずだから今から10時くらいまでなら大丈夫なはず・
5コール程待って涼子が出た
「どうしたの純ちゃんこんな早い時間に?」
「早く終われたから出ておいでよ」
「出るって何処に・・?」
「久しぶりに二人でゆっくり食事でも行こうよ、新次郎ならお母さんに頼めるだろ?」
「駄目よ、新次郎は家庭でゆっくりと親子の会話をしながら食事をして受験に備えなきゃ
模範的な家庭生活が合格の秘訣なんだから、純ちゃんも早く帰られるなら今日は参加してくれなきゃ」
「えっ・・涼子、でも仕事が本格的に始まったらなかなか二人で食事も行けないだろうし

「食事なら新次郎が合格してからでも行けるだし、とにかく帰れるなら早めにね」
そう言うと一方的に電話は切られた。
純一郎は一瞬行き場を失った
純一郎の予想では涼子は喜んでお洒落をして二人でイタ飯でも食べて恋人気分で楽しむ予定だった・・しかし現実はそうではなくあっさりと断られた、これは純一郎にとって営業の戦略予想が外れた時よりもショックだったかもしれない。時間もあるし美沙に会おうかとも思ったが周りがまだ明るいせいもあるのか純一郎の肩を押すものが今一つなかった。
仕方なく涼子の言うとおりに家路に着いた
何年振りだろう・・定時よりも早くに帰宅するなんて玄関を開けると年配の履く婦人靴が綺麗に揃えてあった・・涼子の母親が来ているようだった。
「只今、お久しぶりですお母さん」純一郎は折角涼子に言われて早く帰って来たのに義母に気を使う羽目になるとは・・これならもう少し遅く帰って来た方が良かったと思った。
「あら、お帰りなさい純一郎さん、長期の出張ご苦労様でしたね、お邪魔してますよ」
「久しぶりにお会い出来たんですから今日はゆっくりして行って下さいね」
「あら、そう言って頂けるととても嬉しいわありがとうヨーロッパの話をいろいろ聞きたいのもあるんだけど今日はもう帰らないと涼子に怒られちゃいますから」
作品名:欲望の果て 作家名:松下靖