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欲望の果て

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「グッドラック・・お二人でいつまでも仲良くね」そうつぶやくと主が見る事無いと思われる携帯にメールを送った
「さようなら・・」
美沙は車に乗り込むとその場を走り去った、美沙によって切られた糸がどんどんと樹海に吸い込まれていく・・・・辺りは夕暮れから暗くなろうとしていた・・
一方そうともしらず樹海を進んでいた純一郎もいよいよ明かりを失う状態になるのでここら辺で涼子を絞殺し置いて帰る事にした、密林を歩き続けて足腰も限界に来ていたので純一郎は前のめりに倒れ込んだ・・その時に純一郎は先程のようにベルトの辺りから引かれるようにならない事に違和感を感じた。先程まではかなりの距離を糸を引いて来たので腰のあたりから引っ張られる感じがあったのだが今は全くないのである・・。カジキマグロを釣るラインであるからまさかこの程度で切れるはずはない・・そう思いながら純一郎はベルトに捲いている釣り糸を手で巻きあげてみた携帯の歩数計では約2kmは歩いている表示だった、くいくいと手で巻きあげていると急に軽くなった!!!最初は疲れもあって捲き上げのスピードもゆっくりだったがだんだんと早まるにつれて軽くなっている気がした、軽くなるのと同時に一抹の不安が純一郎によぎった・・・・まさか切れているのでは
その不安は数秒後不幸な事に決定的となる。
糸の切れた・・・いや切られた切り口が来て純一郎は茫然とした・・・
さらにその先に付けられた小さな紙書かれていた言葉で崖を突き落とされたようにとどめをさされた・・紙には一言
「さようなら・・・美沙」
純一郎は最初理解出来なかったが美沙に諮られた事を悟った・・・。
切れた糸の端を持ち純一郎は暫く頭が真っ白の状態で座り込んで考えていた・・
何故に?何故に?どうして?あの美沙が俺を捨てる?あんなに二人の時間を喜んでいたのに・・・事態を把握出来ずにただ純一郎は体の力が抜け動かなくなってしまった・・とりあえず当たりも暗いので今夜はここから動かずに明日の朝にまた行動を考えよう。とはいっても樹海の奥地で休むベットも平たんな所も無くただデコボコとした地面に座り木に背を当てて休むことぐらいしか出来かった。このような状態で絞殺とか考える余裕は純一郎には無かった・・ただどうすれば良いかわからないのでとりあえず寝る事にした。真っ黒な闇の中に木々の間から僅かに月明かりが漏れていた・・漏れた僅かな明かりに涼子が照らされている樹海の自然の中に不自然にも女性が一人横たわる姿を見つめていた純一郎は涼子との回想に耽っていた・・そもそもどうしては俺は涼子と出会ったのであろう・・そして結婚至る事を思い出していた、今みたいな関係ってどこからだろうか・・そうしているうちに月明かりも無くなりホントに真っ暗になってしまった明かりと言えば持っているライターに着火したときにその周りが少し明るくなるくらいで都会では味わえない暗さだ。
すると間もなくポツリポツリと雨が落ち始めた・・やがて雨は本格的に降り始めた、
純一郎は近くに横たえていた涼子を後から自分で抱え込んで大木のたもとに座った・・
一方、CEO就任で順風満帆の赤城は本社ビルの専用室より眼下を見ていた・・
「やっとここまできたな・・しかしまだこれからだ・・今やっと始まったと言って良い」
赤城がそう呟く背後には宇佐美香織が立っていた、香織は赤城の背後から手を回し顔を近づけた・
「もっと楽しめるかしら・・・」
「当たり前だ、ココがスタートだといっているだろ」
赤城が振り向いて香織を抱きしめると同時に受付よりのコールが鳴った、赤城は回線のボタンを押すと受付より
「会長とお嬢様がお見えです」と案内があったので
「わかった」と軽く応えると
「お楽しみに後で」と香織を秘書席に戻らせようとした時には既に新興会長である大林重蔵と傍らに智香が立っていた。
あまりの急な入室に赤城は一瞬驚いたが直ぐに冷静に大林重蔵を迎えた。
「これはこれは会長わざわざお越し頂き恐縮でございます、それに智香さんまで・・ランチのお誘いにしては少し早いように思えますが」赤城は明るくその場を丁寧に取り繕ったが大林重蔵の顔は険しかった。
「赤城君、君の仕事の手腕は多少は評価するが女性の遍歴については関心出来んね、君は妻子もありながらそこにいる若い秘書も愛人にし、彩のママである智香にも手を出している様子、気に入らんね」
「会長のお言葉切に受け止めさせて頂きたく思います、おっしゃるとおり新興CEOに就かせて頂いたからには会長の御信条である潔癖・清品に従い私も身を綺麗にする所存です」
「ほおーそれは感心だね、私の言った事を早速理解してくれたようで嬉しいよ、でっ・どうするんだね」
「はい、秘書の宇佐美は他の部署へ異動、もしくは退職、彩の智香とは手切れましょう、店も出入りする事は止めましょう、会長を紹介して頂いた点は感謝していますがそれ以外の未練はございません、会社の大義を考えると女なんて・・・」
赤城が続けようとしたときに
「酷い、そんな事言うなんて・・信じていたのに」
智香が顔を伏せて泣き始めた、
「何を言っているんだ、君も良い思いをしたんじゃないか、マンションも与えたし店にも政財界に通じる客を沢山紹介したし」と赤城が智香に向かって言っている最中に
ガシャンと応接のクリスタルの灰皿を大林重蔵は持っていた杖で叩き割った
「おい、お前本気で言っているのか」大林重蔵は鬼の形相で赤城に向かって一言言った
「会長何もそこまでお怒りにならなくても」
怒りを宥めようとする赤城に大林重蔵は
「智香はわしの娘だ」と言い放った
これにはさすがの赤城も背筋が寒くなった、まさか智香の父親が新興の会長だったとは智香の人脈には関心していたがその人脈元はこの父親だったのである・・
「貴様はクビだ!誰が何と言おうとクビだ!」大林重蔵は叫んだ、赤城はその言葉を聞くと同時に吐血しその場に倒れた・・・
「フン、虫けらめ!」そう言うと大林重蔵は智香を連れて部屋を出て行った・・・
倒れている赤城を暫く見つめていた宇佐美香織だったが何事も無かったかのように部屋を去った・・・。
ガーデンでビールを飲み眠りに襲われていた和彦だったが激しい雨が降る中でで目が覚めた最初自分の状況は良くわからなかったが、とりあえず雨を避けて建物内に入った、キッチンはそのままの状態になっており二人はどこかへ行った様子だった。一晩待っても帰って来ない二人に和彦は一抹の不安を覚えた涼子がすい臓がんの疑いのある純一郎を助けようとしない点を考えても嫌な予感がしたので和彦は電話を手にとった
「もしもし、警察ですか・・・・」
場所変わって彩の特別席では大林重蔵と智香が飲みながら親子で談笑していた
「上手く行ったわねお父様」
「お前にも苦労をかけたね、あんな男に抱かれてまで父親を助けるとは、お前には頭が上がらんよ母さんが聞いたら怒るだろうな娘を仕事の道具に使うなって」
「良いのよお父様の役に立てて私は嬉しいのその代りにまたオネダリしちゃうもん」
作品名:欲望の果て 作家名:松下靖