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欲望の果て

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「美沙のマンションに出入りしているのはとっくに知っているぞ、女は取り込んでも取り込まれるなよ」
「取り込まれるなんて、そんな・・」
純一郎が言うまでにまた赤城が言った
「芹沢、あーゆうタイプは女に熱は入れない入れるふりをしても所詮はアイテム扱いだ、俺もそうだが数字と天秤にかけるなら迷わず数字をとるタイプだ自分さえデカクなりゃ女は自然に付いてくる、数字の伸びを遮るやつは用無しだ、今はまだ俺の言ってる事が分からないかもしれないがそのうちわかるようになる、そうやって入れ込んでいる女にヤキモチ焼いている時代が懐かしいもんだ、まあ今回はお前に少しだけ助け船を出してやろう」
「ヤキモチだなんて、ただちょっと気が悪いだけで」
「それをヤキモチと言う以外何て言うんだ」
赤城は終始笑顔で化粧室を純一郎より先に出た、赤城の笑みの裏側には秋葉と言う男が自分と似ている事が分かったのでこの先の事の運び安さを大いに喜んでいた、もし秋葉も純一郎のように真直ぐで固いタイプなら掌握するのに時間もかかるし意として読み難い事が多々あるからで出世欲や金、女に動きやすいタイプは目標さえ明確見せてやればコマとして非常に使い易いのだ。
その結果は純一郎が席に戻ると直ぐに現れていた、純一郎が席に着くなり美沙が純一郎の腕にしがみ付いて言った
「芹沢さーん、聞いて下さい秋葉さんて酷いんですよー」
さっきと打って変わって美沙が皆の前で自分に寄る感覚で純一郎は直ぐに気を良くした
「どうしたのー?」
「秋葉さんたらーさっき次の休みにゴルフショップ案内してくれるっていったのに、赤城さんに丸山プロとのプレーに誘われたそっちに行っちゃったんですよー」
「そりゃー酷いなー秋葉君約束守ってあげなきゃねー」
純一郎は先程の流れのお返しとばかりに秋葉に話を振った
「いやあー芹沢さん、丸山プロですよ!丸山プロ!プレー出来るなんて夢のようですよ、丸山プロ、赤城CEOと一緒にコースまわれるんですからこんなチャンスは一生にあるかないかだし逃せませんよ、芹沢さんも一緒に行きましょうよ、ショップの買い物はいつでも出来ますし、でも丸山プロとコネクションあるなんてさすが赤城CEO!男として惚れちゃいますね、一生ついて行きますよ」
「オイオイ俺は男に趣味は無いぞーそれに秋葉君の着いて行くのは俺じゃなく芹沢なんだから、しっかりと頼むぞ」
世間ではこのような男をコウモリと呼ぶのか太鼓持ちと言うのか定かではないが・・赤城の言ったように秋葉は出世や金の臭いのする方が優先なのである。
「芹沢さんはー優しいから私と一緒にゴルフ用品を選びに行ってくれますよねー」美沙は芹沢にすり寄ってそう押しこんだ
「そうだねー美沙が買い物行きたいなら一緒にいこうかな、ゴルフはメンタルスポーツでもあるしノリ気の時に進めて早く上達出来るようにレッスンしようか」
「嬉しいーやっぱり芹沢さんは優しいですね秋葉さんなんてー直ぐに美沙との約束破っちゃうんだもん、ひどーーい」
「えー美沙さんもう僕は約束破りの烙印ですかーママさん助けてくださいよ」
赤城が秋葉をプロとのゴルフに誘う事によって場の雰囲気を和やかに変えて、秋葉との顔合わせのお酒の時間は過ぎて行った。赤城は今迄の酒の席での経験と実績でどのような場面でも自分の思い通りに流れを運ぶ自信があった、赤城のコネクションをもってすれば芸能人だろうがスポーツ選手であろうが誰でも用意する事が出来た。モチロン実弾だけが好きな人間にはそれも準備出来る。赤城にしてみれば秋葉と言う男は使いようによっては便利でもあるし危険でもある事は直ぐに察していた。純一郎のように赤城に従順過ぎるほどの人間も珍しいが秋葉のようなタイプは個人の利益の為になら平気で反旗を翻すことぐらい何とも思わないであろう・・。
日は過ぎて赤城は新興のCEOへと就任していた、純一郎は早速の海外赴任第一弾で遠征へ、秋葉は純一郎指揮の基、国内戦略の責任者に・・それぞれ新しい生活がスタートして1ケ月が経とうとしていた・・
箱根の旅館に密会の男女が2人、涼子と和彦である・・
「いくら純一郎が海外赴任だからって毎週っては不味くないかい」
「良いのよ、全然気付かないし、彼だってそれなりに楽しんでいるんだし」
「そうかーあの純一郎がねー前の赴任まではそんな事言ってなかったじゃないか?」
「ええ、でも夫婦間は冷めていたかなー何の為に結婚したんだろうとかよく考えた事あったもん、週に一度は電話もあったしメールもしょっちゅうしていたけどそれには温もりはないわ、私はずっと温もりを求めていたってカ―君と再会してわかったんだもん。」
「で、どーするのこれから?このままいくのかい?それか純一郎とは別れる?」
「そうね、キッパリ別れたい気もするけど純ちゃんに女がいるのを知っていて、別れるって私が言ったら向こうには好都合みたいで腹立たしいわ」
「じゃー普通にその辺を話して慰謝料と養育費をもらえば良いんじゃないのかな、何なら僕が仲裁で話そうか?涼子との仲を純一郎が知る由もないだろうから」
「まあ焦らなくても彼は死ぬんでしょ?」
「えっ、まさか検査結果の話を純一郎にしていないの?」
「ええ、していないわ、彼がどうなろうと私の知った事ではないわ、それに何も症状もまだ出ていないし言う必要も無さそうだし、それに本当に悪性で死を迎えたなら自然の成り行きでカ―君と一緒になれるし、小さな子供を一人で育てている健気な未亡人として、再婚しても誰も文句は言わないわ」
「怖い女(ひと)だな涼子ちゃんは・・」
「そう?私を長い間寂しく放っておいて帰って来たと思ったら他の女に走る男を許せて?」
「あの純一郎がね・・・・何だか信じられないけど涼子ちゃんが言うんだからそうなんだよな、でも来週に一旦帰って来るって言ってなかったっけ?」
「ええ、帰って来るわよ2週間ほど日本に居てまた海外に戻るみたい、どうしたの?」
「いや、どうせなら純一郎に久しぶりに会ってみたいと思ってね、あれだけ涼子ちゃんに入れ込んでいた純一郎がどんな風に変わったか興味深いし・・それにホントの最後の会話になる可能性もあるんだし」
「良いわよ男同士の友情を最後に交すぐらいの猶予は与えるわ、そこも拒んだら魔女?いや悪女に思われちゃうし・・」
「それは無いよ、会うなと言うなら止めておくよ」
「ううん、いいの、新旧旦那様の交代劇を私も眺めておくわ、その代り・・カー君も今度私を放っておいたりしたら・・」そう言うと涼子は後ろから和彦に抱きつき熱い抱擁を交わした・・。
欧州での生活には慣れていた純一郎ではあったが滞在地チェコでのビールをお茶代わりに飲む習慣には抵抗があった・・こちらではミネラルの方がビールよりも高いのだ。滞在地より美沙にかける電話やメールは涼子よりも数倍多かった
「来週には日本に戻るからマンションに寄るね、2週間は日本にいるから何回かお店にも顔出せるし。」
「そう、嬉しいわー毎日でも寄ってもらえます?どうせなら1週間しかいない事にしてうちにずっと泊っていれば」美沙は弾んだ声で純一郎に言った
「そうだねーそう言う方法もあるか・・どうせ日本に何日いるかなんてわからないんだし新興の社員は涼子の事を誰も知らないしね、
作品名:欲望の果て 作家名:松下靖