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欲望の果て

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「そうか・・涼子ちゃんの前でそうしているだけで何か薬を飲んでないかい?胃が痛むから胃薬とか・鎮痛剤とか?」
「ううん、何も飲んでないわ、純ちゃんビタミン系のサプリは飲むけどそれはいつも私が買ってくるやつだからわかるし」
「そうか・・じゃー痛みはまだ出てないのかな?何れにせよ一度僕が観るよ、本人に言い難いなら僕から言おうか?」
「待って、純ちゃんには私から言うから、純ちゃん案外弱いところがあって勝手に自分で調べて余命半年とか分かってしまったら、自暴自棄になるかもしれないし・・それに新次郎の受験もあって大事な時期だし・・海外から帰って来て久々に家族の生活を大事にさせてあげたいの・・」
「そうか・・そうだよね純一郎や家族の事は涼子ちゃんが一番知っているもんね、出過ぎた事言ったようでゴメン」
「良いのよ、カー君私の事思って言ってくれたんだもん嬉しいわ」
涼子はとっさに思った純一郎がこの事を知って治療に専念されたら新次郎の面接にも支障が出るし運良く奇跡的に回復されると自分の描こうとしている未来が崩れ去る事を・・涼子は思った多分今純一郎が死んでも悲しまないだろうと海外・国内の単身赴任が長かったので実際の所涼子が純一郎と夫婦で生活をしたのは2年程しかなかった、新次郎がいればそれで生活は幸せだった仮に純一郎が死んでも帰るメドの立たない海外赴任にでも行っていると思えばそれで割り切れる気がした。それに最近何となく気配を感じる他の女の事を考えるとこれで綺麗に別れる事が出来る・・永遠に・・
2億近い生命保険金を得て退職金を考えると後世には十分な資金である、あとは若くして夫を亡くした悲運な未亡人をしばらく演じておけば自分自身の人生はまた新たに切り開けると・・長年やってみたかったエステサロンを開くのも良いかもしれない・・純一郎の検査の診断を余所に涼子はもうそんな事を考えていた。涼子が和彦の元を訪れていた時純一郎も美沙の元を訪れていた・・
新次郎は涼子の母親の元に預けていたので純一郎は気がね無くクラブ彩を出てアフターの後そのまま美沙のマンションに転がり込んだ「今日は珍しくゆっくり出来るのね」
「ああ、大学時代の友達の所へ行ったんだ静岡のね、久々だしゆっくりしたらって言ったんだ」
「そお、じゃーお互い都合が良いのね」
「お互いって?どうゆう意味」
「奥さんも案外楽しんでいるのかも・・」
「んーそれも良いかもだ」
「あら芹沢家では浮気は公認なの?」
「浮気たって相手は大学時代の元恋人だから久々にそうなる事もあるかもだ」
「イイの?純一郎さんはそれで?」
「別に良いさ、美沙がいるなら・・・」
そう言うと2人は美沙の部屋のシーツの海に沈んだ・・
ベッドでの戯れを終えて美沙は純一郎の腕に包まれていた
「これっていつまでも続くかな・・」美沙は少し寂しそうに言った
「続けられるさ・・終わりなんて考える必要もない」
不倫行為の場合、女は感情的でありまた現実的でもある。男は感情論よりも身近な快感に溺れ現実逃避の場合が多く、現実に直面すると脆くも崩れ落ちる事が多いモノである。
ホントの事を言うと純一郎も実は美沙のこの一声には少しギクりとしたものがあった。
確かに今の状態を続けるには涼子が見過ごすのか、上手くばれない様に隠し通すのか、或いは開き直って形式夫婦を演じるのか・・
そのどれかである、もっとも今は新次郎のお受験で目クラになっているので安心だが何れは何か方策を立てないと美沙との関係は続かない事は純一郎も薄々気づいていた。もっとも気付かれていないと思っているのは純一郎だけで涼子は純一郎に女がいることぐらい十分に感じていたのである。
「私って家族に憧れているの」そう言い始めると美沙は幼少時代よりの話を純一郎に話し始めた、家族の温かみを知らずに育った美沙は純一郎に家族的なモノを求めている事を語った、モチロン純一郎には家族がいる事は承知だが今まで我慢してきた分純一郎と出会いそれが堰を切ったかのように溢れ出た事も
純一郎に対し大切な顧客、男女を越えたモノがあることも・・美沙はこの幸せを決して失いたくは無かった・・例えどんな手段を使っても・・。
美沙はベットで戯れた純一郎が深く眠っている隙に純一郎に顔を寄せお互い胸辺りまで布団の肌蹴た状態で写メを収めた、そうともしらずに純一郎は気持ちよく寝入っていた、美沙にとっては今となっては涼子の存在は邪魔でしか無く何れ何かの手段で純一郎と別れさせようと考えそして自分に言い聞かせた・・
「今までは私は十分我慢してきたのだから今度は他の人が我慢する番なのよ、私が自分の希望を押しとおすのは決して悪くないわ、これは私が幸せを掴むチャンスなんだから」
美沙も結局のところ自分の欲に目が眩み周りは何も見えなくなっているのである、もっとも控えめな女子がたまに我がままを言うのは良くわかる・・しかしそうかと言って不倫を肯定しなお且つ本妻を排除しようとは女という生き物の欲深さがよくわかる、世間でもよくある修羅場の光景で女はこう叫ぶものだ
「泥棒ネコ!」裏を返せば言っている本人もそう呼ばれる事もあるという事だ、男にとってはまさに飼い猫に急襲された感じになり面食らうだろう。ここで本妻が余裕を見せて
「うちのモノが世話になりました」と深々と頭を垂れて礼を申せば相手はどう思うだろう
寛大な言葉を皮肉と捉えるかそれとも言葉の裏に見え隠れする想像出来ない事態に恐れおののいて自ら別れを決心するだろうか・・もっともその場に居合わせた男はもっとパニックなるかもしれない、噛み付いてくる女子には対処慣れしていたり予想は出来るものだが余裕を見せられたり汐らしく身を引かれると返って男は自分の中に罪の意識を増幅させるものである。そんな場面にぶつかる人は多いのか少ないのか分からないが筆者が助言するならば女子はか弱く身を引く方が案外男は戻ってくるものである。
さて、美沙はどのような方法をとるのか?美沙なりにいろいろとシュミレートしてみた
写メを涼子に送り強気で迫る・・このような関係に至り一人では生きては行けないとか弱くせがむ・・。焦らなくても時期は来るはず必ず・・私はずっと待ち続けたのだから。勝利を確信し男を手の内に収めたかのように思うと美沙も何だか嬉しくなってきたのだった
それぞれの夜は過ぎて何があろうと起ころうと世界万人しかも平等に朝は訪れる、多少天候の差はあるにしても闇夜から朝日が差す事には変わりない。純一郎が会社出勤し専務室を訪れると赤城は専務室で胃薬を飲んでいた「おはようございます」
「おはよう、芹沢・・」
「朝からお薬ですが?また昨晩よく飲まれたのですか?」
「ん?いやそんなには飲んでないが歳のせいかイマイチ回復力が落ちているかもしれん」
「少し、お控えになっては?大事も控えている事ですし・・」
「そうだな、大事を成すまで少し控えるかな、向こうに行っていきなり入院では話にならないからな」赤城はそう言いながらスーツのボタンを留めるとポンっと自分の腹を軽くたたいた。
作品名:欲望の果て 作家名:松下靖