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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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LCACがやってくる

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 数日後、私の住む横瀬西郷での説明会に私は出席した。配られた説明用のパンフは何故かウミガメや熱帯魚の写真がカラーで入っている。LCACの写真は小さく、たとえば機銃を装備していることなどの説明もなく、「物資を輸送する。災害の際の救助にも使える。」などとある。LCACが冷戦終結後の地域戦に対応する最新鋭の兵器であることは隠蔽されて、ただの輸送船であるかのようだ。
 説明も信じられないほどいい加減で人をバカにしたものだった。騒音は室内のクーラー程度だという。毎回80デシベル以上が計測されているのにだ。ある女性が米兵の犯罪について質問すると、犯罪を起こすのは日本人でもアメリカ人でも同じことだと言い、運用が始まる15年も先に米兵がどこに住みどこから通うかそんなことはわかりませんと言うのだ。
 私はそれらの点やそれ以外の矛盾点を批判し、そもそもこの場に米軍の責任者がいないのだから、運用面については確かめようがない、と指摘した。最後に私は「あなた方の説明で納得した住民はいないでしょう。地元住民の一人として計画の白紙撤回を要求します。」と結んだ。参加者の2〜3割から拍手がおこった。私はうれしかった。
 あとの地域ではここよりももっと多くの激しい反対意見が出たという。
 寄船の役員会では残念なことに請願書ではなく申入書になった。請願に必要な紹介議員の問題があったという。ただし、申入書には寄船全戸の署名が添えられた。それに寄船郷長の必死の説得で東郷長、西郷長の連名で反対の申入書も提出された。もっともいやいや書いたらしく「現状では反対します。」と書いてあったが。
 確実に風は変わりつつある。私はすぐ「反対する会」を開いて、この間の詳しい経過と寄船、東西郷、瀬川汽船(横瀬と佐世保港を15分で結ぶ定期航路)のそれぞれの反対申入書、漁協が防衛施設局に申し入れた文書などを載せたチラシを作り、新聞折り込みに入れた。町がさぼっている全住民に事態を知らせる仕事までこちらがやっているようなものだ。
 当然のことながら長崎県のマスコミはこぞってこの問題を取り上げだした。(残念ながら全国版にはあまり載らなかったが)。これ以降私はマスコミの取材申込みを全部受け、熱心な記者にはFAXでこちらの情報を流し、代わりに向こうから情報を入手するようになった。
 そのころ、私はある筋からさらに重要な情報を手に入れた。これまで静観していた反町長派が「LCAC基地建設反対」の態度を決定したというのだ。