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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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LCACがやってくる

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 相変わらず関心は低く、全然盛り上がりはなかった。集める側も、まじめに一戸ずつ回っていたのは数人で、結局、435名の署名になった(この町の人口は一万人である)。紹介議員になってくれたのも共産党の渕香代子さん一人だけだった。  
 明日議会に提出というその夜、渕康裕さんからかかってきた電話に私は耳を疑った。「議会事務局に聞いたら、捺印がなければ無効だと言うんだけど、どうしよう」というのだ。
 最初、私は捺印欄のある署名用紙を作成し、見本を刷って渕さんに見せたとき、彼は「西海町規約集」という分厚い本を開いて見せて、「津田さん、請願署名に捺印はいらないんだよ」と言ったので私は不思議に思いながらも用紙を作り直し、チラシにも「捺印は不要です」と書き加えたのだ。今さら「どうしよう」じゃないだろうが。
 「でも規約集は…」というと、「うん、よく見たらその20ページ前に捺印が要ると書いてあった」。目の前が真っ暗になった。「それでね、明日の朝、(反対する会の)事務局3人で請願することにして、あとは賛同者の署名ということで」「そうだね、それしか方法がないみたいだね、でも、請願者が3人というのと435名というのとは大違いだね」「そうかな、どうせ最初のページには代表者の名前だけで、あとは『その他何名』と書くのだから似たようなものじゃない」。
 声を失って私はとっさに心に誓った。もう二度と何があってもこの男とだけは一緒に活動するものか。

435名の署名を添えての請願は「LCAC特別委員会」に付託された。私はマスコミの取材を受けるのに飽きてきた。町は静かだった。私は「負けたな」と思った。

 シナリオ通り「調査の結果西海町横瀬が最適地となりました」との発表があり、正式申し入れがあった。町長は「住民と議会との意見に沿った判断を下す」と回答し、10月に入って町と福岡防衛施設局は地元5地区で順に「説明会」を開くことになった。そして私は私の判断がいかに当てにならないかを思い知らされることになるのだ。