LCACがやってくる
それに、横瀬西、東など地元の部落から反対の声があがるだろうと考えていたのだ。任意団体である住民運動がいかに一生懸命やっても、一つの部落が総会で反対決議をする方が大きいのだ。私は部落(このあたりでは「郷」という)に対して臨時総会を要求したり、郷独自の住民投票を提案したり、婦人会に署名集めをするよう働きかけたりした。
しかし、現郷長は町長の親戚であり、前回の町議選で町長を後ろ盾として立候補した人物だった。彼は私の家に来て「あの署名はよく考えなかったので取り消す」と宣言し、一方で私の提案は役員会にかけようともしなかった。明らかに町長から言い含められたのだ。
期待は裏切られ、町長のやり方に腹を立てて私は1998年12月になって重い腰を上げて仕方なく「LCAC基地建設に反対する会」を渕さんを含め6人で立ち上げた。
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ