LCACがやってくる
「調査」なるものが進展し、町長が公式には「白紙である。地元とよく相談する」と言い続けている間に「横瀬が有力」と既成事実が積み重ねられ、議会では「LCAC問題特別委員会」が議会の半数の議員により組織されたが、私は別になんにもしなかった。共産党の渕香代子議員から「一緒に反対運動をやりましょう」と持ちかけられてもぐずぐずしていた。私は住民運動のリーダータイプの人間ではないし、何よりすごく怠け者でめんどくさいことは明日に延ばす主義だし、それに数年前の「ゴルフ場反対運動」で懲りていた。
隣の西彼町に建設中のハウステンボスゴルフ場の排水が傾斜の関係ですべて西海町の水道の取水口のある川に流れ込む、ということから、この町始まって以来の反対運動が起き、私も5人の事務局の一人に選ばれ広報や文書の起草などをやったのだけど、運動はやがて反町長派による町長のイメージダウン、という性格を明らかにしていったのだった。私がゴルフ場に撒かれる農薬の資料をそろえて説明しようとしても参加者はストーブを囲んでとどまるところなく町長の悪口を言い合ってつきないのだった。いったい何人本当に水を守ろうとしていたのか。(このときの反町長派は現在の町長派である)
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ