LCACがやってくる
翌朝、N議員から電話が入った。「おととい、久間章夫が今わかっているだけで二人の議員に直接電話をしたらしいよ。」「なるほどね。それで2票変わったのか。」
あとでわかったことだが、久間元防衛庁長官は「反対請願を採択してしまうと後戻りできないよ。」と脅したという。土建業者でもある一人の議員は「それじゃ、工事に地元業者も参入できますかね。」と聞いたところ、「もちろんできる。」と答えたという。ふつうこのような大きな工事はゼネコンが施工するので、地元の小さな業者は孫請けにさえも参入できないのだ。
あからさまな利益誘導と圧力。そういえば私の近所の女性は基地建設賛成署名を集めに来た人に「基地建設に反対などしたらそのあとこの町は国からなにもしてもらえなくなるよ。」と言われて署名した、と言っていた。
「地元の意志を尊重する」っていうのはそういう意味なのかよ。「地方の時代」はどこいったんだよ。
この国では物事はこんな風に進んでいくのか。そして大半の人はそれが仕方ないことだと考えているのか。
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ