LCACがやってくる
翌朝、私は議会事務局に呼ばれた。用件は次のようなことだった。
「LCAC基地建設に反対する請願」の本文は「西海町議会は、LCAC基地建設反対の決議をし、意見書を町と政府に提出してください。」となっている。文面通り解釈すれば本会議は請願を採択したあと、もう一度「LCAC反対決議」をしなければならない。そこで、請願の採択を同時に「反対決議」と見なして、すぐに意見書の作成に入る方が簡便であるが、請願提出者としての考えはどうか。
「意見書は?」という私の問いに、相手は、「もう作ってありますよ。」とほほえんだ。私は胸がいっぱいになった。
OKを出して議会事務局をあとにしながら、私は「勝つんだ」と自分に言い聞かせた。あと数時間でこの町は米軍基地を拒否する。町長は「議会と異なった判断はしない」と明言しているのだから。そして国は「地元の意志を尊重する」と言っているのだから。
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ