LCACがやってくる
この署名の話は後に反町長派のN議員が私のうちに署名のコピーを持ってきて、詳しく説明してくれた。明らかに同じ筆跡が続いている、漢字が間違っているなど、本人が書いたと思えないものが多い、町外の署名がある、ある工場では署名簿が回ってきて全員署名しろと言うので署名した人が、あとでLCAC賛成の署名とわかって(その時は1枚目が付いていなかったので何の署名か知ることができなかった)取り消しに行ったが取り消せなかった、ある小部落では寄り(部落の集会のこと)の時入り口で駐在員(小部落の長)から署名してから入るように言われた、などなど。町長選挙の後援会組織を総動員してわずか1日半で集めている。別の機会に私がかつて町長派の選挙参謀をしたことのある人に聞いたところ、「どんなにがんばってもこの数を集めるのに1週間はかかる。絶対嘘だ。」とのことだった。別のある友人は「テレビで要望書の申し入れの場面を見たばって、町長後援会の幹部が町長に手渡しとるっちゃけん、誰っちゃ猿芝居ってわかる。」と語った。
その時点で私はこういったことを知らなかったから、反対署名の4倍近い賛成署名の数に深くショックを受けていた。何故なんだ。私たちの主張はそんなに説得力がなかったのか。しかし、N議員は再び「大丈夫」と請け合った。私はあと2〜3人に電話をかけてから、頭が混乱したまま床についた。
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ