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つだみつぐ
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LCACがやってくる

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 それから私はまた議員への手紙を書き始めた。何度も何度も書き直した。数時間コンピューターに向かい続けると頭がくらくらした。生まれてから数十行の短い文章を、こんなにも必死の思いで書いたことは一度もない。それから宛名書きをして切手を貼った。ポストに投函しに行ったのは午前2時を回っていた。

西海町議会議員各位殿

 拝啓
 寒さ厳しき折、皆様方におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 12月17日の特別委員会において私どもLCAC基地建設に反対する会の請願を採択していただき、喜びこれにすぐるはありません。二十回以上の委員会開催、住民の意見の聞き取り、各地の調査などをふまえ長時間の慎重な審議の結果、「目先のお金よりもふるさとを守る」という決断を下された特別委員会各委員に敬意を表したいと思います。
 私たちの請願以外にも要望書、申入書などが提出されています。LCAC基地建設受け入れ賛成の請願書、要望書、申入書などは一通も提出されていません。22日の本会議では是非とも特別委員会の結果を踏襲し、逆転されることのないよう心からお願い申し上げます。
 12月18日の西日本新聞では町長が「委員会の結論は重いが結論はあくまで本会議。本会議で覆ったケースもこれまでにあった。特別委は、建設反対の声しか聞かなかったのではないか。」と語った、とありますが本当でしょうか。もし本当なら大変悲しいことです。議員各位におかれましては行政から独立した立法府としての権威を守った決断をしていただくよう僭越ながらあらためてお願いします。
 
 今日も普天間飛行場問題に揺れる名護市の報道を目にしました。商店まで二派に分かれてお互い買い物もしないとのこと、本当にこのような事態だけは避けなければなりません。私たちは何の組織的なつながりもなく、ただ、子ども達にすてきなふるさとを残してやりたいという想いでお金を出し合いながら活動してきました。もしも私たちの活動が町内の対立を生むようなことがあれば慚愧に耐えません。理性的な話し合いが感情的な対立に転化しないよう切に願っています。それにしても「田舎ならいいだろう」と安易に基地を押しつけた国の考えには腹が立ちます。
 私の個人的な考えで恐縮ですが、私は私たち大人が何をするかの基準は私たち自身でなく私たちの子ども達におくべきだと思っています。大人はやがてみんな死にます。地位も財産も名誉も何の役にも立ちません。死んだあとには私たちの子ども達と彼らの住む地域だけが残ります。愛しい子ども達がこのふるさとで幸せに暮らしてほしい、それが死にゆく私たちの最後の願いではないでしょうか。

 年末のお忙しい中、書状を差し上げ長々と勝手なことを書き連ねましたこと、お詫びいたします。あらためて私どもの真意をご理解いただきこの町の将来のためにLCAC反対請願を採択していただけますよう伏してお願い申し上げ筆を擱きます。
  敬具
1999年12月19日

 もう何日も畑仕事をしていない。どんどん作業は遅れている。でも、人生にはこんなこともあるんだ。私はなんだかぼんやりするような気持ちで本会議の前日の夜を迎えた。
 すると、渕さんから電話がかかった。
 「今日、賛成署名が提出されたよ。」「えっ、署名は何名?」「1781名。」
 1781名?まさか。どうして?