LCACがやってくる
翌朝、私は昨日の議論に沿った内容でチラシづくりを始めた。新聞はそれぞれ末浦特別委員長の言葉を大きく取り上げている。それもチラシに反映させよう。
読売「長期間慎重に審議してきたが受け入れに賛成する住民の意見はなかった。平和で静かな町をつくるのも地域振興の一つ。」 西日本「住民の真剣な気持ちを大事にした判断。本会議でもこの結論を重く受け止めてほしい」
『受け入れに賛成する住民の意見はなかった』! なんて大胆な発言だろう。
西日本新聞には町長の「これまでも委員会の結論が本会議で覆された例はあった。」という発言が載っている。いよいよ本性を見せ始めた。でも、そういう例はあったのか。嫌だな。
とりあえずこの部分はチラシには使わず「私が議会と同じ判断をする考えは変わっていない。」という部分を使おう。
チラシの「私たちの主張」は次のように書いた。
私たちは特別委員会が国のアメとムチに屈することなく、住民の意に沿った決断を下したことに敬意を表します。外国の戦争に協力することによる町づくりではなく、ふるさとの自然を守り住民自身の手による町づくりをしていくためのきわめて重要な一歩だと思います。
特別委員会が議会からの付託を受けて、長期間にわたり検討して出したのは、LCAC拒否という結論です。私たちの請願以外にもLCAC反対の要望書、申入書などが提出されています。受け入れ賛成の請願書、要望書などは一通も提出されていません。本会議がこの結論を重く受け止め、住民の意思を尊重したLCAC拒否の最終判断を下すよう望みます。
作品名:LCACがやってくる 作家名:つだみつぐ