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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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LCACがやってくる

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 そして十二月七日、特別委員会が開かれた。

 LCAC特別委員会は非公開だったので、私たちはマスコミ陣と一緒に委員会室の隣の議員控え室に陣取り、決定を待った。頭の中で私はマスコミに対するコメントを考えていた。「住民の意思が反映されなかったことは残念です。」「今後の活動はまだ考えていません。」そんなところかな。
 そのとき、委員会室のドアに耳をつけて中の様子をうかがっていたNBCの記者が指で丸を作った。「勝ったみたいですよ」「えっ、本当ですか」
 私たちはどやどやとドアの前に詰めかけた。少し経つとドアが中から開き委員長が姿を現した。「みなさん今日は何でしょうか。」笑い声が起きて雰囲気が和んだ。「それで結論は。」「賛否同数のため、委員長が加わり、5対4で請願は採択されました。」私は飛び上がりたかった。「よかったね。」たがいに握手をした。「ありがとうございました。」カメラのフラッシュの中で委員長とも握手した。委員長も笑顔だった。
 しまった、勝ったときのコメントは用意していなかった。議場を出て隣の町役場の前でテレビカメラに囲まれても私は脳をフル回転させてコメントを考えていた。まだ本会議がある。発言は慎重に。
 「まず最初に住民の意思に沿った歴史的な決断を下された委員のみなさんと委員長に敬意を表したいと思います。」よし、いいぞ。「このことは住民自身の手で地域を守りよくしていこうという住民の勝利であり、きわめて重要な意義を持つと考えます。」そうだ。「そしてこのことが基地公害に苦しむ日本中の方々へのわずかでも励ましになってくれたらいいと願っています。」質問が飛んだ。「まだ本会議がありますね。」そのとうりだ。「議会の委託を受けた委員会が長期間かけて出した結論ですから、本会議でも同一の結論になるものと確信しています。」完璧だ。いつから俺はこんなに受け答えがうまくなったんだ。