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紺青の縁 (こんじょうのえにし)

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 そして次のような一つのシナリオに辿り着いたのだった。

 それは日本平パーキングエリアで昼食を取り、土産を買い、そこの店員に桜子と光樹の二人の存在を印象付けるところから始まる。
 そして二人は日本平パーキングエリアを午後一時前に出発する。
 だがそれは約五百メートルほど車で走っただけ。そこに高速バスの停留所がある。

 光樹が運転する車はそこへ侵入し、桜子はそこで車から下りる。その停留所の近くに静岡県立美術館があり、桜子はそこへと歩く。
 そしてそこからタクシーに乗り、静岡駅へと向かう。約二十分もあれば静岡駅に着く。そして新幹線に乗る。
 たとえこの出来事が三十年前のことであったとしても、静岡駅から京都駅までは、待ち時間を入れても、三時間もあれば京都駅に到着することができる。
 桜子は遅くとも午後四時過ぎには京都駅のホームに降り立っただろう。

 京都駅から祇園のクラブまで、タクシーで二十分もあれば充分。桜子は日本平パーキングエリアを出てから、約四時間を要することもなく、クラブ・ブルームーンのドアを押し、中へと入ることができたのだ。
 そして呼び出しておいた洋子に会った。つまり午後五時前に、桜子は犯行に及ぶことが可能だったのだ。

 一方、日本平パーキングエリアから京都南インターチェンジまで、その距離は約三百五十キロメートル。
 光樹が平均時速七十キロで車を走らせたとしても、約五時間後の午後六時には京都南インターチェンジを通過することができる。多分光樹は速度を上げ、京都の手前の大津サービスエリアで時間調整をしたのだろう。

 桜子は午後五時前に誰もいないクラブ内で、ロープを使って洋子の首を絞めた。そして同じロープで、洋子の首吊り自殺を偽装した。

 その後、桜子は店からそっと抜け出し、公衆電話から当時光樹の車に備え付けられてあった自動車フォンに電話を掛け、約束の五時五十分に車に戻ることを連絡する。そして近くの祇園四条駅へと向かい、電車に乗る。
 乗車時間は十分強、それで藤森駅に到着できる。桜子はそこで降り、さらに徒歩十分で、名神・京都南インターチェンジの手前にある深草バスストップに到達した。

 そこで光樹をしばらく待つ。大津サービスエリアで時間調整をしていた光樹は、約束の時間通りに車でそこに現れる。
 そしてここで桜子は「長いドライブで疲れたでしょ、私が運転するわ」と運転席へ、そして光樹は助手席へと移る。

 こうして二人は、その後深草バスストップからしばらく走り、京都南インターチェンジの料金所へと向かい、桜子は紙幣を風で飛ばす演技をし、午後六時頃にそこを通過する。