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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの

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 本当に大切に思うのならば、証明して。
 本当に大切に思うのならば、離れないでよ。
 そんな風にいつも知秋は思っていた。

苦しいとは思う。
だけど、分かった様な顔をされて、同情をされるなんて、まっぴらごめんだ。

分かって貰える程に、
あたしの傷は浅くない。

そんな単純な話じゃないんだから、
誰も慰めに来んなよって思う。

知秋は、今日も不機嫌にまとわりつく長い髪を振り払い、乱暴な足取りで正門を出る。

天野知秋、15歳。
華山高校1年生。

派手に胸元を開けたシャツに、適当に結んだネクタイ、ここまでかというくらいにあげまくったスカートを彼女は着込んでいた。
腰まである髪は強い風に煽られて、好き勝手な方向へとばさばさと音を立てている。

おしゃれというよりも、明らかに学校に反発しているだけとしか思えない姿で
彼女は家へと向かって歩いている。
まあ、彼女の場合、反発している矛先は育ててくれたここの数学教師天野竜也に対するものなのだけれども…。

家は、学校から近い。
竜也が、学校が近いからと知秋にこのアパートを選んだ。
知秋は、学校になんかもう行く必要はないと思っていた。もうそう言うバカなお芝居はやめて欲しい。そう考えていた。今、学校に行ってるのは彼女の往生際の悪さから来る惰性だった。