SFファンタジー 『異説・人類の起原』
戦争を介して遂げる進化と発展には、大いなる関心を寄せているが、ただここにきてついに、禁断の最終兵器<核兵器>を保有するに至ってしまった。それも地球全体を何回も破滅させるほど大量に配備され、いつでも即座に発射出来る状態にある。人類滅亡の最大の危機である。
しかしさすがの人間達も、人類滅亡の道を選ぶほど愚かではなかったようじゃ。今のところ小康状態を保っておる。核の発射ボタンを押す人物が現われないことを祈ろう。
現在の人類の知能指数はレベル5まで到達している。そうアダムの知能指数と同じレベルのままである。何故なら、アダム・イブ両名が別世界から携えてきた豊富な知的財産は、両名の死後一切相続されることが無かった。すべて余の配慮からである。
この地球の新人類は、まったくの一からのスタートになった。言語にして然り、人種別の言語も然りである。
アダムとイブが、全生涯を掛けて神殿に遺したメッセージは、後世の学者達によって発見・発掘されて、日の目を見ることが出来た。しかし、其処に印された文字は、古代文字として未だに解読されていない。
近年になってやっと解読の糸口までは辿り着いたようだが、すでに現在の人類がアダムとほぼ同じレベルまで進化した今、その情報に得るところは少ないであろう。
さて、注目されるのはこれから進化が加速されるのか、停滞してしまうのか。更に知能指数を伸ばせるのかである。まさにこれからが人類にとっての正念場となろう。
明るい材料としては、四次元のコンセプトが確立し、更に研究が進んでいること。まだ正式な市民権は与えられていないが、超能力人類の誕生などが、更なる進化への道を示唆していると言えそうじゃ。
アダムが今、人類の救世主として、何処でどんな役割を果たしているか、余の口から明言するわけにはいかない。しかし、間違いなく今現在も、人類の平和と発展を願って、重要な地位に就いて、日夜献身的な努力を続けていることは確かである。
願わくば、彼の発する和平へのメッセージを生きとし生けるものすべてが真摯に受け止め、実現への協力者となってもらいたいものじゃ。
人類があらゆる利害を克服し一致団結したあかつきには、無限の宇宙に向けての大いなる飛躍が待っているであろう。
ー完ー
◎あとがき
青春時代真っ只中、20代・30代の読書はSF(サイエンス・フィクション)小説一辺倒だった。毎月、月刊SFマガジンの発売日が待ち遠しかった。単行本も読み漁った。手製の大型本棚はSFだけで埋まっていった。
そしてお決まり?の「自分でもSFを書きたい」という欲望が芽生える。その思いはずーっと胸のうちでくすぶっていた。でも、物語の発端になる部分がどうしても書けなかった。
40代になって初めて尾瀬に連れて行かれ、いっぺんに山歩きの魅力に取り付かれた。読書もSFを離れ、山岳小説に鞍替えした。特に新田次郎さんの小説に惚れた。都内の古本屋を片っ端から漁り、全著書を本棚に並べた。
そしてついに、山歩きから小説の導入部が思い浮かんだ。こうして長年あたためてきた自分善がりなSFを書き上げることが出来ました。
人間同士仲良くなれないのでしょうか?今現在でも地球の何処かで人が人を殺しています。悲しいことにこれは断言出来ます。更に最近、日常茶飯事のように報道される、自爆テロ。
前途有る若者が自らの命を絶ち、無差別な一般の市民の命を奪う。たしかにその若者達は身内を殺された恨みがあるのでしょうが、そんな行為からは何も生れてきません。
一番の元凶は上に立つ指導者・統率者だと思います。心の傷を受けた若者達を、慰め励ますのではなく、洗脳して兵器に仕立て上げる。そして更に、金儲けだけの死の商人たちの暗躍が事態を泥沼にはめてしまう。
こんなことでは、いつか『ゼウス』の鉄槌が下るのでは・・・・。
作品名:SFファンタジー 『異説・人類の起原』 作家名:おだまき