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大雨の翌朝は晴れていた

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「トウモロコシをトンボ殺しなんて云うんだよ」
 上空に大きな黒い雲が拡がり、急に暗くなった。窓から入る風が冷たくなったような気がする。
「頭悪いんじゃない?その子」
「ところが秀才だったんだよ。学校の勉強はよくできてたみたいだったよ。昔はいろいろな奴がいたなぁ」
「……どうしてそんな話をするわけ?急に」
 いつの間にか髪をポニーテールにしていた結花は、かなり不思議そうな顔で訊いた。
「あの紅いヘリコプターを見たとき思い出したんだよ」
「ヘリコプターを、どこで見たの?」
「あのスキー場のホテルの近くに荷物を運んで来たの、見ただろ?」
「……ああ、夢でしょ。居眠りしてたから」
 結花は呆れたような顔だ。
「そうだった?」
 あの細い登りの道で体力を相当に消耗していたのだろうと、彼は思った。
「こんなに立派な道路があるのに、ヘリコプターで運ぶことないでしょ」
 そう云われると確かに辻褄が合わない話だった。トラックで運ぶほうが運搬に必要な経費は格段に安いだろう。
「そうかぁ、夢だったのか。今朝も……」
「どんな夢を見たのよ」
「やめとこう。悪い夢だったんだ」