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大雨の翌朝は晴れていた

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「急に外国に来たように錯覚するよ。こういう世界があったんだね!」
 羽柴は驚いて思わず大声になった。下界の農村地帯との関連が、その場所には全く感じられないと思った。
「おなかがすいてたらホテルで食事をしたかったね」
「予約してないと駄目なんじゃないの。ヘリで材料を運んでるんだし……さて、この先は山岳ハイウエイという雰囲気の道が続いてるみたいだよ」
 小規模な雪渓が点在する高原に、先程の道とは対照的に広くてガードレールもある快適な道路が続いているようだった。
「裏から入ってきたのね、わたしたち」
「俺の人生に相応しいね」
 自転車でのツーリングの団体や、徒歩で登って来る高齢者の団体とすれ違ったりしながら、快適な山岳ドライブが始まった。
「ずっと昔、近所の子が空を見上げてヘリコブタって云うんだ。それはヘリコプターだろって俺が云うと違うって云うから、口喧嘩になってね、その挙句小石の投げ合いだよ。相手の顔面に命中して、焦ったなぁ、あのときは」
 羽柴は車の運転をしながら話している。
「怪我させたの?」
 結花はひどく驚いた顔になった。
「そうなんだ。目の上を切って顔面血だらけだった。あいつ、トンボ殺しなんて云ってたこともあった」
「何よ、それ」