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大雨の翌朝は晴れていた

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「酒でも持って来れば良かったなぁ」
「凄い景色ね。でも、風邪ひくから」
 笑顔の妻に手を引かれ、若い夫は泡だっている湯の中に促された。
「首が疲れるよ。さすが、三千メートルの山は迫力がある」
 下界は朝霧に霞んでいる。山の中腹辺りは雲海に洗われている。その上に浮かぶ岩山の姿が叫びたいくらいに美しい。
「わたしがここを予約したのよ。来て良かった?」
「神様仏様結花様という感じだよ。ありがとう。心の栄養になる。この絶景は」
 数日前までは離婚を考えていた。妻が結婚前に交際していた男と密会しているという情報は、勤め先の同僚からもたらされていた。そんなときに結花はこのホテルを勝手に予約したことを謝った。
「結婚式のとき、哲志は新婚旅行は来年にしようって云ったじゃない。あの頃仕事が忙しくて行けなかったのは残念だったけど、今よ。この瞬間にストレスがどこかに飛んでったという感じ」
「年末だったからなぁ。結花が結婚を急いだ理由を訊く暇もなかった」
 妊娠しているのではないかと羽柴は思ったのだが、それは思いすごしだった。急きょハワイかグアムへ行くことも考えたが、急に予約することはできなかった。