霊感テスト
「ううん。家族じゃなくて、知らない人」
「わあ、すごい。はるかってきっと霊感が強いのかもよ。ほら、知らない人と会った場合は、かなり強い霊感の持ち主だって」
真弓は本を見ながら無邪気に驚いたけど、わたしははるかのようすがヘンだったので、それを打ち消すように、
「だけどさ。こんなことで霊感があるかないかなんてわかりっこないよね」
と、話をはぐらかした。
けれど、それっきり、はるかはむっつりと黙り込んでしまった。
大通りの曲がり角で、真弓や美由紀と別れると、わたしははるかと二人になる。
私たちの家は隣同士。しかも同じ建て売り住宅なので、ぴったり同じ家に住んでいる。
ちがうのは、はるかの家の庭は、きれいな花がいっぱいの花壇があること。
うちは芝生が植えてあるけど、殺風景な庭だ。
わたしたちはほとんど同じ頃に引っ越してきた。そして、その日に仲良くなった。
転校してきたときは別々のクラスだったけど、五年生になった今年から、同じクラスになった。
はるかが黙ったままなので、わたしはおもしろい話を思い出しながら、いろいろと話しかけた。
はるかはいくらか笑ったりあいづちをうったりしたけど、いつものようなノリがない。
そうこうしているうちに家についてしまった。
はるかはドアノブに手をかけたまま、あけるのをためらっている。
「はるか。気にしない。気にしない」
わたしは明るく励まして、家に入った。
ところが、その日を境に、はるかのようすはだんだんと悪くなっていった。
「だいじょうぶ? 保健室で休めば?」
といったら、はるかはおびえたように体を震わした。
「ううん。いいの。眠ったらだめなの」
青い顔をしているはるかが心配で、わたしは、はるかのお母さんに聞いてみた。
「そうなのよ。真希ちゃん。はるかったら、目をつぶると男の人が来るって言って、眠れないみたいなの。学校を休ませようとしても、どうしても行くってきかないし」
どうしよう。わたしがふざけ半分にあんなテストをしたから……。
はるかは、だんだんとやせていって、先生もクラスのみんなも心配していた。
それでも、はるかは力なく笑って、
「だいじょうぶよ」
って、言っていた。
でも、一ヶ月もすると、とうとうおかしくなった。