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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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霊感テスト

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 まず目を閉じて、自分の家の間取りを頭の中に思い浮かべてください。

 いいですか? では、始めます。

 アナタは今、自分の家の玄関の前に立っています。
 さあ、玄関を開けて、中に入ってください。
 それから、順番に部屋を回って、ドアを開けて、窓を開けてください。
 廊下もトイレもお風呂場もですよ。
 2階建ての家なら、2階に上がって、全部の部屋のドアと窓を開けてくださいね。
 どうですか? 全部終わりましたか?
 では、最後にあけた窓から、今度は逆に閉めていってください。
 順番を間違えないようにしてくださいね。
 開けたのと逆の順番で閉めていくんですよ。
 2階をしめたら、下の階へ。そうして、最初の玄関にもどって、外に出ます。
 無事にもどりましたか?
 では、目を開けてください。
 
「で、これがどうしたのよ」
 目を開けるなり、真弓が言った。
「わたし、順番間違えちゃった」
と、いっしょにやっていた美由紀がぺろっと舌を出した。
「家の中を歩いているとき、家族の誰かに会った?」
 わたしが聞くと、
「ううん」
 真弓と美由紀はそろって首を横に振った。
「じゃあ、二人には霊感がないってことね」
 わたしは質問の種明かしをした。
「なによ。それ」
 ふたりが目を丸くしたので、わたしはカバンの中から本を取り出して見せた。
 それは何年か前の雑誌で、昨日の日曜日、部屋を整理していてお姉ちゃんがだしたものだ。
 表紙に「心霊特集」なんて書いてあったので、おもしろ半分にとっておいたの。
 心霊体験がいくつかと、心霊写真が載っていたけど、たいして怖くなかった。
 でも、「霊感テスト」っていうのがあったので、真弓たちに試してみようと思ってもってきた。
「じゃあ、あんたはどうだったの? 真希」
 真弓はわたしから本を取ると、ぱらぱらめくりながら聞いた。
「残念ながら。わたしも誰とも会わなかったので、霊感はないみたい」
って、答えたら、美由紀ががっかりしたような口調で言った。
「なあんだ。つまんない」

「わたし、会ったわ」
 ふいに、ずっと黙っていたはるかがぽつりとつぶやいた。
 わたしたちはいっせいにはるかの方を見た。
 はるかは心なしか青ざめた顔をしている。
「ほんと?」
「お母さん? お父さん?」
「お兄ちゃんとか?」
 わたしたちは口々に尋ねた。
作品名:霊感テスト 作家名:せき あゆみ