ねとげ~たいむ
クエスト12,開催・特別クエスト(前編)
私はテーブルの上に用意された物を確認していた。
「ジュース良し、お菓子良し、スマホの留守電設定良しっと!」
準備万端だった。
お風呂も入ったし、食事も済ませた。
いよいよこの日がやって来た。
そう意気込んでいるとドアをノックする音が聞こえて来た。
「茜〜、そろそろ行くよ」
「うんっ!」
私は時計を見る。
時刻は21時15分前、そろそろみんな集まっている頃だ。
パソコンを起動してオンライン・キングダムにログインした。
この世界にやって来た。
街はいつも通りの風景だった。
でも私達はこれから念願の特別クエストに挑もうとしていた。
するとお姉ちゃんが隣に現れた。
「お待たせ、じゃあ行こうか」
私達は肩を並べながら歩いた。
するとショーウィンドウに映る自分の姿を見た。
かなり豪華な装備になったモンだ。
現在の私の装備。
Weapon:ファイア・ソード
Side:ドラゴン・シールド
Protection:マジック・アーマー
Helmet:聖なるサークレット
Accessory:火鼠のマフラー
ちなみにお姉ちゃんは、
Weapon:アイス・ソード
Side:ドラゴン・シールド
Protection:シルバー・メイル
Helmet:聖なるサークレット
Accessory:龍水晶
となっていた。
集会場では殆どのメンバーが集まっていた。
「みんな、お待たせ」
私が言う。
すると真っ先に飛び込んで来たのは……
「お・ね・え・さ・ま〜?」
サリアさんが私に口を3の字に変えながら飛び込んで来た。
「ちょ、サリアさんっ?」
「お姉さま〜、私と一緒に組みましょうよ〜」
サリアさんはそう言いながら私にキスを求めて来る。
必死で引き剥がそうとする私を余所にお姉ちゃんは周囲を見回した。1人足りなかったからだ。
「エミルちゃんがいないわね」
「ああ、エミルはそろそろ……」
「あ、皆来てる!」
そう言いながらエミルが現れた。
「エミル遅刻よ」
「ええ? 遅刻じゃないよ、まだ1分あるじゃん」
「約束は最低でも5分前に集まる物よ、約束守れないんじゃロクな大人になれないわよ」
「ううぅ〜っ!」
エミルは低く唸った。
私は間に入って言う。
「まぁまぁ、そろそろ行こうよ、時間もったいないし」
「案ずる事は無い、夜はまだ長いのだ。闇に満ちた時こそが我ら夜の血族の時間」
「姉さん、今夜だけは特別だよ、明日から宿題片付けないと間に合わないよ、毎年毎年母さんがうるさいんだから……」
「だ、黙れ半身! そんな事は分かっている!」
急に現実に戻されて顔を赤くした。
この人は宿題を最後までやらないタイプだからだ。
ちなみに私は後少しで終わる、お姉ちゃんはいつの間にか全部終わってた。
ゲームの時以外は寝てるか部活してるかのどっちかのくせに、すごい不公平だ。
私達はギルドへやって来た。
特別クエストに参加できるパーティは5人。
あらかじめパーティの構成は決まっていた。
パーティ1:
私、エミル、レミ、センリ、レイさん。
パーティ2:
お姉ちゃん、ショコラさん、ホイップ君、セナさん、サリアさん。
攻撃・防御・魔法・回復、どれをとってもバランスがとれている。
なお、このパーティを決める時に凄く揉めた事は言うまでも無い……
「さてと…… みんな、今日はがんばりましょうね」
「は〜い!」
「分かりましたわ、ルナお姉さま!」
「クククっ、我の闇の魔力を見せる時だ」
「よろしくお願いします」
向うは和気あいあいとしていた。
多分年長者のお姉ちゃんがリーダーになるだろう、あの人はチャランポランだけど統一力があり、どこか人を引っ張る才能がある。
きっと元のパーティでもこんな感じでやってるんだろう、多分……
まぁ、こっちはこっちで別に構わないのだけど……
「今日はよろしくお願いするでありんす!」
レイさんは深々と頭を下げた。
レイさん以外はいつものメンバーだ。
「アタシ達ならどんなクエストでも楽勝楽勝」
「結局いつものメンバーになっちゃったね」
「古人曰く『女房と釜鍋は古い方が良い』」
こっちもチームワークだけなら負けて無い。
ちなみにセンリの言葉の意味は新しい物より使いなれた物の方が良いと言う意味だ。
新しい人や物よりも慣れてる方が良いと言う意味だ。
クエスト受注所のカウンターは1つ、お姉さんは1人しかいない、先にお姉ちゃん達がクエストを受注する事になった。
お姉ちゃん達が登録を済ませると私は言った。
「お姉ちゃん、がんばって」
「アンタもね」
お姉ちゃんは微笑しながら消えて行った。
次は私達の番だった。
「みんな、がんばろう!」
私が皆に言うとエミル達は頷いてくれた。
そして私達も登録を済ませてクエストのステージへ飛んだ。