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ねとげ~たいむ

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 煙の中に1つの影が浮かび、晴れると1匹のモンスターが姿を現した。
 高さは私達の腰部分しか無い、頭からフード付きのマントを羽織り、顔部分は暗くて見る事は出来ないが赤いピンポン玉くらいの2つ目が不気味に輝き、三日月形の口にはノコギリの様な歯が並んでいた。
「こいつが家鳴?」
「yes! そいつが曲者『ポルター・ガイスト』でありんすっ!」
 ついに正体を現したモンスター、けど意外と情けない姿だった。
 ポルター・ガイストは『騒がしい霊』と言う意味で、家鳴と同じ家具や食器などが宙に浮かぶ…… 西洋版の家鳴と言った所だろう。
 レイさんはダーク・セイバーの切っ先をポルター・ガイストに向けて言った。
「人の世に群がる地獄のモージャ、エンマダイオーに代わり、ワチキ達が三途の河の渡し守を勤めるでありんすっ!」
 それ私達も入ってる?
 レイさんも随分ノリノリだった。
「幽霊と妖怪ってどう違うんですの?」
「コロナ、知ってる?」
「えっと……」
 実は私も良く分からない。
 妖怪とは長く生きた動物(猫又や狢など)や捨てられた物(九十九神)が変化した者、中にはその土地に根付いた信仰(牛鬼やナマハゲ等)となった者や事故にあった人間の噂が噂を呼んで生まれた者(口裂け女やテケテケなど)も多いが、人間には予測不能の力を使う存在。
 幽霊とは死んで肉体から抜け出た魂が何かを伝える為か、やり残した事があると成仏できずにこの世に留まってしまい、最悪の場合永久に未練を残した場所に縛られて(自縛霊)しまう。
 でも幽霊も時間が立ち過ぎると悪霊(幽鬼)と化して大暴れしたり、人間が妖怪に(生成)なる事も聞いた事がある。
 一見似てるようだけど妖怪はあくまで『進化して神通力を持った生物』であり幽霊は『意思を持った精神体』とでも呼べばいいのだろうか?
「要するに両方ともモンスターって事でしょう?」
「違うよ、妖怪の中には富や幸せを運んで来てくれるのもいるから、全部が全部悪って訳じゃ……」
「でもこれは敵でしょう? これから戦うんだし」
 私の説明を『敵』の一文字で終わらせた。
 それがお姉ちゃんの凄い所だ。
 だけど戦わなきゃいけないってのは事実だった。

 ポルター・ガイストは両手を前に突き出すと周囲の石畳が接がれて浮かび上がり、グルグルと回転しながら私達に襲いかかった。
 するとサリアさんが私達の前に出て来るとパピヨン・フェザーを両手で持って技コマンドを選択した。
「回転戦舞っ!」
 サリアさんは私達の周囲を回転しながらパピヨン・フェザーで石畳を破壊した。
 サリアさんが攻撃を防いでくれているおかげでポルター・ガイストは左右ががら空きだった。
「コロナっ!」
「うんっ!」
 私とお姉ちゃんは左右に飛ぶとファイア・ソードとアイス・ソードを構えた。
「「気合い斬りっ!」」
 炎と氷の刃が交差して×の字に切り裂いた。
『ギャアァァ―――ッ!』
 手ごたえあり、バッチリダメージを与える事が出来た。
 でもまだ倒す事は出来なかった。
「センリ、今のうちにたたみかけて……」
『キェエエ―――ッ!』
 ポルター・ガイストは奇声を上げた。
 途端地面に落ちた頭蓋骨が宙に浮かんだ。
 また攻撃してくるのかと思いきや、驚くべき事に1つに纏まり人型となり、右手に大剣が握られた。
 そしてポルター・ガイストは青白い人魂状となると出来上がった骨の巨人の中に吸い込まれる様に入った。
 途端全身から青白い炎が噴き出して巨人が動いた。
 そしてモンスターの名前が表示される。
『キング・スケルトン』
 まるで骸骨のパワード・スーツだった。
 こいつが今回のボス・モンスターだった。
「oh、ヤナリの次はガシャドクロでありんすか!」
「和風版スケルトンだってのは事実だけど……」
「こいつで最後って事で良いのかしら?」
「古人曰く『塵も積もれば山となる』、油断しないで」
「でしょうね、いかにもって感じですわ」
 みんな武器を構えて臨戦態勢を取る。
 それは相手もそうだった。
 キング・スケルトンは巨大な足で石畳を砕き、地響きを立てながら私達に向かって来た。
『キエエェェ―――ッ!』
 大剣を振り上げると一気に振り下ろした。
 とてもうけきれないので私達は攻撃を回避する。
 散り散りになった私達は別々に攻撃を仕掛けた。
「飛翔扇っ!」
 サリアさんはパピヨン・フェザーを放った。
 でも怨霊の炎にさえぎられて再びサリアさんの手の中に戻った。
「古人曰く『押してダメなら引いてみろ』、打撃がダメなら魔法が有効!」
 センリの雷撃が放たれた。
 でも骨の体から噴き出した怨念の炎はそれを遮った。
 でも怨念の炎が物理攻撃を遮っていたと言う事は、それが無くなれば攻撃は通る事になる。
 私はファイア・ソードを構えて飛びあがった。
「気合い斬りっ!」
 炎の斬撃がキング・スケルトンの背中に炸裂する。
 見事頭蓋骨の鎧は砕かれて床に落ちた。
「効いたっ!」
「なら私もっ!」
「援護しますわ、戦の舞いっ!」
 サリアさんは戦の舞いを踊るとお姉ちゃんの体が赤く発光し、頭の上に赤く小さな矢印↑のマークに両刃の剣が重なった印が浮かび上がった。
 攻撃力の上がったお姉ちゃんはアイス・ソードを構えて飛びあがった。
「気合い斬りっ!」
 左わき腹を狙ったお姉ちゃんの気合い斬りも効果があった。
 粉々に砕かれた頭蓋骨のパーツは床に落ちてポルター・ガイストの手が露出した。
「なるほどね、つまり骨全部ぶっ壊して中身を引きずりだせば良い訳ね」
「じゃあ、一気に……」
 私が言いかけた時だった。
『キェエエエェェ―――ッ!』
 キング・スケルトンが大きく咆える(正確に言えばポルター・ガイストだけど)と砕かれた骨が元に戻ってしまった。
「また戻った?」
「復元する前に外装を破壊して本体を倒さなきゃいけない」
「なら私も攻撃に参加しますわ!」
 サリアさんのレベルはMAX、確かに心強い、でも問題は私達3人で本体を引っ張り出せるかどうかだった。
 私とお姉ちゃんが相性の良い武器を使い、さらにサリアさんの攻撃が加われば外装を完全に破壊する事は出来るだろう。でも問題はその後だった。
 私達は攻撃でターンを使ってしまう、上手くポルター・ガイストは引っ張り出せても相手は闇属性、唯一攻撃ができるレイさんも闇属性の武器しか持って無いから与えられるダメージは半減してしまう。
 そんな時を考えている時だった
『ガアアアアっ!』
 体中の頭蓋骨が口が開くとそこから無数の青白い火球が放たれて私達を襲った。
 キング・スケルトンの攻撃は壁や天井、床までを爆撃し、私達はそれを逃げまどいながら回避した。
「これじゃ近づけませんわっ!」
「ったく、本当に面倒だなぁ」
 お姉ちゃんが頭を掻いた。
 するとレイさんが言って来た。
「wait! ワチキに考えがありんす」
「レイさん?」
「ワチキがbone armorを破壊するでありんす、皆サマは攻撃をお頼みありんす」
「ちょっと待って、レイさんの武器って闇属性じゃ……」
「それじゃ、redi goでありんすっ!」
「レイさんっ!」
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki