ねとげ~たいむ
私達は闇の迷宮をさらに進んで行った。
正直言ってモンスター達は私達の敵じゃ無い、だけど待ち構えていたのはモンスターだけじゃ無かった。
「wait a minim! 待ってくんなましっ!」
「えっ?」
私は足を止めた。
その瞬間、私の一歩先の床が崩れた。
これは罠だった。
「えええっ?」
「コ、コロナ姉さま、大丈夫ですかっ?」
「脱獄囚用のトラップ、罠はまだ作動してるみたい」
「ゲームのダンジョンじゃお馴染だけど…… 何でトラップだけ生きてるのかしらね?」
「普通こんだけ風化してんだから壊れても良いのにね」
私がサリアさんに抱えられて立ち上がった時にお姉ちゃんは腰に手を当てながら言って来た。
レイさんは特技でトラップを見破る能力を持っている。
私達はレイさんを先頭にすると後に続いた。
トラップの中にはダメージを負ったり毒や麻痺になったりする物もある。
そうなったら回復が面倒になる、レミやホイップ君がいないから回復魔法は無い、体力やステータスの回復は全て道具で行わなければならない。
私1人ならともかく皆で使うからストックには気を付けなければならない。
でもレイさんがいればそんな事はお構いなしだった。
やっぱり盗賊がいると便利だった。
私とお姉ちゃんが前衛攻撃、センリが攻撃魔法、サリアさんには様々な踊りがあり中には体力を回復してくれる『癒しの舞』や攻撃力増強の『戦鬼の舞』などでサポートし、レイさんがお宝回収や罠の発見…… 意外とバランスの取れたパーティだった。
「レイさんって、どんな風に暮らしてたの?」
「どんなの…… と申しやすと?」
「ほら、アメリカじゃどんな生活してたとか、どんな友達がいたとか」
正直私は興味があった。
アメリカに行った事が無いし、滅多に聞ける事じゃ無いからだ。
するとレイさんは考え込んだ。
「そう言われましても…… 向うでも大した事はしておりませんでした。friendは沢山おりました」
レイさんは答えた。
でも興味があるのは私だけじゃ無かった。
「向こうはレディ・ファースト精神があるから、女性には結構優しいんでしょう」
「lady達も優しくしてくれたでありんすよ、blackなhairが人気でありましたから」
レイさんは自分の髪を指差した。
今はアバターだけど、プレイヤー本人も黒髪らしい。
こっちだと黒髪がダサくて染める人が多いけど、海外だと人気で羨ましいらしい。
日本語…… 特に漢字もクールでかっこいいと評判だと言う。
こっちだと色々面倒なだけだけど……
そんな話をしながら最深部へやって来た。