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ねとげ~たいむ

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 エミル達はある海岸洞窟へやって来た。
 普段は海中にあるこの洞窟は引き潮の時に入口が現れ、エミル・ショコラ・ホイップの3人は鏡貝と戦っていた。
 人間1人くらいなら入るだろう巨大な2枚貝が開くと鋭い牙が並び、巨大な1つ目がギョロリとエミル達を見ていた。
「エミル・スーパーストリームパーンチ!」
 エミルの正拳が炸裂する、しかし貝殻が閉じるとエミルの攻撃を弾いた。
「砕けよ雷、ミョルニル・ハンマーっ!」
 正式名称メガ・ライザーが鏡貝の頭上から降り注がれた。
 しかしこれも防がれてしまった。
「くっ、我の魔法が通じぬと?」
「この〜、アサリの分際で〜っ!」
 決してアサリと言う訳ではない、しかし基本力押ししかできないエミルは沸騰寸前だった。
 一方ホイップはコロナ達からのチャットを引き受けていた。
「すみません、今僕達戦闘中です」
「魂の片われよ、このような時に密談をするな!」
「そうだよ! そんな暇があるなら攻撃よ攻撃っ!」
「……姉さんが2人いる」
「どう言う意味だ。我をこのような突撃バカと同じにするな!」
「それはこっちの台詞よ、言う事が痛々しい電波女と一緒にしないでよ!」
「誰が電波だ。この特撮バカ!」
「うっさい、このアニメバカ!」
「大丈夫かな? このパーティ」
 貧乏くじを引いたホイップは大きくため息を零した。
 
 レミ&サリア組。
 夜の草原に広がる壮大な花畑の中で月の光を浴びたホタルブクロにも似た花がほのかな輝きを放っていた。
 これこそが光草なのだが、決してどれでも良いと言う訳では無い、手に入れるのは無数に咲いている中でたった一輪しか咲かない『黄金の光草』だった。
「ぐっ、また外れ……」 
 レミは光草を持つ手を震わせた。
 レミの道具コマンドを開くとすでに30を越える光草が入っていた。
 確率からしておよそ5パーセントの確率だった。
「な、何で1本も手に入らんのや? 胸クソいわっ!」
 素に戻ったレミは叫んだ。
 少し離れた場所ではサリアがコロナと話しをしていた。
「おいたわしや、お姐さまは悪戦苦闘中、お目当てのお宝が出てきませんの」
「だぁあああっ! 次こそ必ずとり返す、見とれやボケェ!」
 まるでギャンブルで身を破滅させる駄目な大人だった。

 センリ&セナ組。
 虹孔雀の羽根を求めて虹の谷を訪れていた。
 切り立った崖に露出した虹色の水晶が輝く渓谷ではセンリが悪戦苦闘中だった。
「メガ・エアードっ!」
 雷鳥の杖から無数の風の刃が空に向かって放たれた。
 空には全身銀色の羽毛だが虹のように7色の尾羽を持つ虹孔雀が両翼を羽ばたかせながらセンリの魔法を回避した。
 それを見たセンリは表情こそ固い物のの、右の眉をヒクつかせた。
「やはり飛行中は回避される、やっぱり罠を仕掛けて待った方が良い…… セナ」
 状況を分析したセンリはセナに罠を張って貰おうとする。
 しかしどこにもセナの姿が無かった。 
「ふええ〜〜ん、助けてくださ〜い」
 すると地面に落とし穴があり、その中にセナが落ちていた。
 穴の底で泣き叫んでいるセナを見ながらセンリは呟いた。
「……古人曰く『策士策に溺れる』」
 センリは両肩を落とした。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki