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ねとげ~たいむ

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 このオンライン・キングダムのクエスト受注所には様々な部屋があるのは以前話したと思うけど、その内の1つに掲示板と言うのがあった。
 それは誰しもが自分を紹介したり、一緒に冒険をしたりすると言う、いわゆる書き込みサイトだった。
 ここに『仲間を募集しています』と書き込めば誰かが来てくれるかもしれなかった。
 しかしあくまで『かも』しれないだった。
『一緒に特別クエストに参加してくれる仲間を募集しています、職業・性別は不問です、可能な方は返信をお願いします』
 そう書きこむと私達は掲示板を後にした。
「みんな書いてたね」
 エミルが言って来た。
 書き込んでいたのは皆ランク9の人達だった。
 考える事は皆同じ、特別クエストに備えて仲間を募集していた。
「私達の所に来ますかね〜?」
「あれだけいると、返って1人探す方が難しいのかもね」
 レミの言う通りだった。
 何人いるかは分からないけど、ランク9でソロプレイしている人達は他のパーティに助っ人として入っているはず、可能性は圧倒的に低い。
「古人曰く『人事を尽くして天命を待つ』…… やれるだけの事はやったんだから、これでダメなら諦めるしかない」
「そうだよね……」
 私は納得せざるおえなかった。
 まだダメだ決まった訳じゃない。
 もしその時の事を考えると残念で仕方なかった。
 するとエミルが私達の前に立って言って来た。
「ねぇねぇ、折角みんな集まったんだしさ、これから冒険しようよ」
「わぁ素敵です〜、私、こんなに大勢で冒険するの初めてです〜」
「まぁ、これも何かの縁だしね」
「くくく、我は問題ない」
「あ、僕も構いません」
「……私も」
「お姉さまはいかがいたしますか?」
「え、私も賛成だけど……」
 私はお姉ちゃんを見る。
「ん〜、良いんじゃない? 私もコロナがどこまで強くなったか知りたいし」
 お姉ちゃんは人差し指を突き立ててウィンクをした。

 私達はクエスト受注所へ向かった。
 皆で受けるとなると普通のクエストではあっという間に終わってしまう。
 よって今回受けたのは採取『暗黒を照らす光』だった。
 街の灯台が消えそうになったので素材を回収して来るのが今回のクエストだった。
 必要な素材は全部で5つ、最初に4つエリアで素材を手に入れ、最後の1つの素材を手に入れると言う物だった。
 最初の4つは『黄金の光草』、『虹孔雀の羽根』、『水晶杉の枝』、『鏡貝の真珠』だった。
 私達はパーティを組んでいるのでそれぞれ分かれて探す事になった。
 私とお姉ちゃんが水晶杉の枝、レミとサリアさんが黄金の光草、センリとセナさんが虹孔雀の羽根、そしてエミルとホイップ君・ショコラさんが鏡貝の真珠を担当する事になった。

 やって来たのは氷河地帯だった。
 右を見ても左を見ても雪と氷に閉ざされたこの風景、ゲームとは言えこの季節には羨ましい状況だった。
 だけど立ちふさがるモンスターの数が物凄く異常だった。
 人食いマンモスのギガント・ノーズ、群れを成して襲って来るブルー・コヨーテ、氷の怪物アイス・ジャイアントなど、氷属性特有のモンスター達が私達の行方を塞いだ。
 こいつらはそんなに強い訳じゃない、ましてや私もお姉ちゃんも属性付きの武器を持っているので倒すのは楽だった。
 私のファイア・ソードと大鋸、お姉ちゃんの両手持ちのバーニング・ハンマーと2丁のメタル・トマホークで敵を倒して行った。
「随分強くなったじゃない」
「みんなのおかげだよ、正直私1人じゃここまで来れなかった」
「良い人達で良かったね」
 確かに良い人達だ。確かに少し変わってるのだけど……
 ロリ、お金持ち、無口、中二病、男の娘、天然、百合キャラ…… 私とお姉ちゃんで姉妹キャラだから、その気になればちょっとしたギャルゲーが出来る、あと足りないのは幼馴染とツンデレくらいだ。
 そんな事を考えていると目的地の山頂にやって来た。
 目の前には根元から枝先まで淡い光を放つ水晶でできた樹木がそびえ立っていた。
 私達は水晶杉の近くまでやって来ると枝を1本へし折った。
「みんなはどうなったかな?」
 私は他の子達にチャットで尋ねた。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki