小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ねとげ~たいむ

INDEX|76ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 

 流砂の下は洞窟となっていた。
 砂時計のように落ちる砂を横に、私達の目の前に1本道があった。
 その道を進んで行くとやがて大きなフロアに出た。
 切り開かれたようなドーム状の地底の空間、そこには殆ど風化して砂に埋もれた街があった。
「ここがホントのステージって訳ね、滅んだ街にモンスターが住みついたって所かしら?」
「さっきのドラゴンがボスキャラっぽいね」
 私は言う。
 よくゲームでもボスの体の一部やボスキャラそのものが行く手を妨害し、最終ステージで決着を付けるタイプがある。
 今回はそのタイプだろう。

 私達は街の中を歩いて行った。
 建物に入って調べてみるが物気の空だった。
 残っていた壺や宝箱の中にはお金やお宝があった。
「いつも思うんだけど……」
 エミルが言って来た。
「お金はともかく、何で民家に武器や防具が何で民家にあるのかな?」
「そりゃ泥棒とか抵抗する為じゃ無い?」
「でも棍棒とかなら分かるけど、鋼の剣とか買ったら普通に高いよ? この家結構お金持ち?」
 変な所ばっかり気にかかるなぁ。
 確か鋼の剣1本1000ビアス、日本円じゃ大体100円、すなわち現実世界じゃ10万円と言う事になる。
 だけど武器ならまだ良いかもしれない、薬草とかなら腐り落ちるはずだし、薬などは使用期限などが過ぎているはず、そんな物を拾って使うなんて問題だ。

 街はモンスターの巣窟と化していた。
 赤い甲殻に2本のハサミと鋭い毒針を持つ蠍、レッドテイル。
 太く長い胴体に毒液を放つ巨大コブラ、サンド・バイパー。
 全身鋭い棘を生やし、踊るように襲い掛かってくる人食いサボテン、ダンシング・カクタス。
 砂漠特有のモンスターが私達に襲い掛かった。
 こう言った場合は『水』や『氷』属性の武器が役に立った。
 以前手に入れた海鳴りの鉾や、エミルのアクア・トンファー、センリの魔法も大活躍だった。
「メガ・アクアス」
 センリの杖から発せられた無数の水の刃が敵を切り裂いた。
 その間を縫って私とエミルが飛びかかった。
「たあああっ!」
「うりゃああっ!」
 私の海鳴りの鉾とエミルのアクア・トンファーが敵を蹴散らした。
 
 街から抜け出すと今度は神殿だった。
 神殿に着くなり今度は手荒い洗礼を受けた。
 何と地表に現れたドラゴンが現れた。
「こいつボスじゃ無かったの?」
「ったく、休む間が無いわね!」
 レミは舌打ちをする。
 ドラゴンは大きく口を開けながら紅蓮の炎を吐き出した。
「リフレクト!」
 レミは右手を広げると金色の巨大な魔法陣が現れて炎を防いだ。しかしこの障壁は相手の攻撃を防ぐだけでは無かった。
 レミがさらに手を押し出すと炎が弾き返されてドラゴンに命中して爆ぜた。
 レミの新魔法『リフレクト』は『ガード』と違い、物理的防御力を上げる魔法では無く、魔法やブレス系などの攻撃を弾き返すと言う魔法だった。裏を返せば通常の攻撃は跳ね返す事は出来ない。
『ギャアアッ!』
 反撃されて一瞬怯んだ。
「やっちゃいな!」
 レミが言うと私達は飛び出した。
「横薙ぎっ!」
「エミル・ハーケンオールデスサイス!」
 私の薙ぎ払いとエミルの回し蹴りが炸裂し、ドラゴンの首が真っ二つになった。
 ズシンと言う音を立てながら倒れるドラゴン、しかし頭部から下の首部分が奥の方に引きずられるように去って行った。
「どう言う事?」
「奥に何かあるのは違い無い、さっきのがあくまで体の一部なら本体は別にあるはず」
「それが今回のボスって訳ね」
「恐らく」
 センリは言った。

 案の定行く先々でドラゴンの首との戦闘になった。
 こいつの攻撃手段は噛みつき、頭突き、火炎攻撃の3つだけ…… さっきの通り倒せば良い、でも倒す度に首が引っ込んで行った。
「首いくつあんのよ?」
 エミルは舌打ちをする。
 この場合は複数の首を持ってるか、もしくは後退しては回復し再攻撃と言う可能性もある。
 後者は考えずらいし、恐らく前者と思うけど、いずれにしろ確実に先には進んでる、このまま行けばゴールだ。
 
 そして最深部へやって来た。
 恐らくこの奥は王の間になってるんだろう、殆ど崩れ落ちているけど、左右で2匹の竜が向き合い、その上では翼を広げた1羽の巨大な鳥が描かれた両開きの門が目の前にあった。
 私達が門を潜ると予想道理だった。
 長い時間で殆どが砂に埋もれて風化した空間、奥には国王と王妃のだろう2つの立派な玉座があった。
 様子を見ながら部屋の中央近くまでやって来ると突然足元が揺れ、床を打ち抜いてモンスターが現れた。
 無数の昆虫の足が生えた斑模様の太い胴体、その1つの体からあのドラゴンの首が無数生えていた。
『ラビリンス・ワーム』
 モンスターの名前が表示された。
「ワームって…… 確かミミズじゃなかったっけ?」
「違うよ、地球外生命体だよ、隕石に乗って地球にきて地球人に化けながら繁殖する……」
「それ何のワーム?」
「ワームはドラゴンの1種って説がある……コロナが言うワームは足の無い虫の事、普通の虫はインセクト」
「どっちでも良いわよ、正直虫は嫌いだわ」
 レミは吐き捨てる。
 確かに私もあまり好きじゃ無いな。
「アタシ虫好きだけど、超古代の力を身につけて『超変身っ!』とか、超高速クロック……」
「特撮から離れろ!」
「私は皆既日食の日に生まれた青年が改造されて太陽の石で変身、さらに悲しみの力と怒りの力を得て……」
「アンタもか!」
 2人とも特撮好きだからなぁ。
 レミも隠れファンらしいし、私だって嫌いな訳じゃない、子供の頃は結構見てた。どっちかって言うと光の巨人だけど……
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki